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2016年10月21日掲載
論文名 |
Species richness of theunderstory woody vegetation in Japanese cedar plantations declines withincreasing number of rotations. (人工林下層の木本植物の種数は植林の繰り返しによって減少する) |
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著者(所属) |
五十嵐 哲也・正木 隆(森林植生研究領域)、長池 卓男(山梨県森林総合研究所)、田中 浩(研究担当理事) |
掲載誌 |
Journal of Forest Research、August 2016、DOI:10.1007/s10310-016-0537-2(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
林業を続けるためには同じ場所で人工林の伐採と植栽を繰り返すことになります。こうした人工林施業の繰り返しによって生物多様性が減少する恐れのあることが指摘されていますが、調査データで裏付けられているわけではありません。 北茨城の天然林を伐採して造成した初代スギ人工林6カ所と二代目のスギ人工林6カ所で、林内の木本植物の種数を調査し、その違いを比較したところ、木本植物の種数は初代の人工林よりも二代目の人工林で少なくなっていました。二代目造林地で減っていた種は、初代林での出現頻度が低い種でした。また、植林面積が広いほど、近隣の森林から侵入してくる植物が減るために、出現種数は植林面積が大きいほど少なくなります。その一方で、調査地周辺の天然林の割合が高いほど人工林内の種数が多くなっており、近隣の天然林が種子源になっていることを示しています。 人工林の世代交代を繰り返した場合に種数が減少しないようにするためには、種子源となる近隣の天然林との距離などを考慮することが重要と考えられます。 |
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