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事務所の木質内装は視覚的にあたたかく快適な印象を与える

2016年12月8日掲載

論文名

事務所の内装に使われた木材によってもたらされる視覚的影響 ―聞き取り調査の多次元尺度構成法による解析―

著者(所属)

末吉 修三(複合材料研究領域)、森川 岳(構造利用研究領域)

掲載誌

木材学会誌、62巻6号、311-316、2016年11月(特集号「木質と人間の係わり」) DOI:10.2488/jwrs.62.311(外部サイトへリンク)

内容紹介

快適と言われる木質空間ですが、公共建築物など中大規模建築物の木質化を促進するためには、木材が居住環境で果たす役割を科学的に明らかにすることが必要です。その中でも、多くの人が長時間活動する事務所の内装へ利用拡大するためには、木材が人の五感に与える影響を明らかにすることが鍵になります。

そこで、28名の大学生に対して、事務所の室内写真20枚を提示して類似の印象グループに分けてもらい、グループごとに会社の印象およびそのような印象を持つ理由を尋ねました。各グループの写真番号と回答をテキストデータの1つのまとまりとし、全テキストデータを非計量的多次元尺度構成法1)で解析したところ、予め被験者に「木質」と「非木質」の内装写真が含まれていることを説明していないにも関わらず、これらはしっかりと分けて位置付けられました。この解析法では、一つの平面上の中で、関係が強い語は近くに、関係が弱い語はお互いが遠くになるよう配置されますが、「木質」の内装写真は「木材」の近くに配置されました。またその周辺には、「快適」「静か」「あたたかい」「友好的」など、執務空間あるいは会社や接客社員の好印象につながる語が位置付けられました。

この結果は、木質化された事務所の内装が人に対して好ましい視覚的影響をもたらすことを示唆しており、中大規模建築物の内装木質化を推進する上で、科学的根拠資料として活用できると期待されます。

1) 非計量的多次元尺度構成法:多次元空間内に、類似度の大きい対象同士はそれぞれの対象を表現する点間の距離が小さくなるように、類似度の小さい対象同士はそれぞれの対象を表現する点間の距離が大きくなるように、各対象の点を位置付ける統計的方法。

 

写真:木質内装及び非木質内装

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