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2016年12月8日掲載
論文名 |
古生層堆積岩小流域の厚い風化基岩層における水分変動が降雨流出応答に及ぼす影響 |
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著者(所属) |
細田 育広(関西支所)、谷 誠(人間環境大学) |
掲載誌 |
地形、37巻4号、日本地形学連合、2016年10月 |
内容紹介 |
日本列島に広く分布する中古生層堆積岩の流域は、火成岩の流域に比べて、雨の降らない日が続くと渓流の水量が大きく低下する傾向があります。また、流域が乾燥している時には雨が降ってもなかなか増水しないのに、湿潤な時には少ない雨でも顕著に増水する特徴があります。しかし、このような水流出の特性が生み出されるメカニズムについては不明な点が多く残されています。 そこで古生層堆積岩流域のひとつである竜ノ口山森林理水試験地南谷(写真)の試験斜面に深さ18mの観測井を掘り、風化基岩内の地下水位の変化を表層土壌水分や渓流水量とともに観測しました。その結果、風化基岩は普段の透水性が非常に低く保水性が高いことがわかりました。また、降雨により表層土壌が湿潤になるに従って、風化基岩内の深い地下水位が渓流水量とよく似た変動をするようになることがわかりました。さらに、流域が湿潤なときの大きな降雨イベントにおいて風化基岩の透水性が著しく向上することが推察されました。 この研究により、降雨時の渓流水量増加のメカニズムに地表面流や表層土壌だけではなく、もっと深い位置にある風化基岩が関わっているということがわかりました。今後、古生層堆積岩流域における降雨流出の予測精度の向上に向けて、さらに研究を進めていきます。
写真:岡山平野の北東縁に位置する竜ノ口山森林理水試験地南谷における水流出の様子
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