研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2018年紹介分 > 塗装することで屋外に5年放置しても防火性能と色合いを維持する難燃処理木材
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2018年2月5日掲載
論文名 |
(1)5年間屋外暴露後の難燃処理塗装木材の防火性能 (2)難燃処理塗装木材の屋外での変色 |
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著者(所属) |
(1)原田 寿郎(四国支所)、上川 大輔(木材改質研究領域)、片岡 厚(広報普及科)、石川 敦子(木材改質研究領域)、亀岡 祐史(丸菱油化工業(株)) (2)石川 敦子(木材改質研究領域)、片岡 厚(広報普及科)、原田 寿郎(四国支所)、上川 大輔・小林 正彦(木材改質研究領域)、亀岡 祐史(丸菱油化工業(株)) |
掲載誌 |
(1)木材保存、43巻6号 322-327、日本木材保存協会、2017年11月 DOI:10.5990/jwpa.43.322(外部サイトへリンク) (2)木材保存、44巻1号 11-18、日本木材保存協会、2018年1月 |
内容紹介 |
難燃薬剤を注入して防火性能を高めた内装用の木質系の不燃材料や準不燃材料が数多く開発されていますが、これらを建築物の外装や外構用として屋外でも使用したいとの要望が高まっています。屋外で使用して雨風に暴露されると、雨水による薬剤の溶脱で性能が低下することが懸念されますが、難燃処理木材の長期間にわたる屋外暴露後の防火性能の変化や屋外耐久性に関する研究はこれまでほとんど行われていませんでした。 森林総合研究所では丸菱油化工業(株)と共同でこの課題に取組み、難燃薬剤を注入し、塗装した厚さ18mmのスギ材を屋外に放置し、5年間の経過観察を行いました。その結果、リン酸グアニジンを主成分とする難燃薬剤に溶脱を抑制する目的でフェノール系の添加剤等を加えて改良した薬剤を用いることで、薬剤が溶脱しにくくなること、適切な塗装をすれば、薬剤の溶脱を完全に抑えることはできないものの、5年後も準不燃材料(注1)レベル(10分間の総発熱量が8MJ/m2以下)の防火性能を保持できることを明らかにしました。また、表面の色合いについても、この難燃薬剤で処理した場合は、無塗装、塗装とも無処理の場合よりも色差の変化が小さく、難燃処理により変色が抑制されることがわかりました。 (注1)準不燃材料:建築基準法に定められた材料の防火性能を示す基準で、この基準を満たせば、避難階段など特殊な場所を除き、防火性能が求められる場所の内装に使用できます。
図1 屋外暴露後の難燃薬剤の残存量とコーンカロリーメータ試験での10分間の総発熱量
図2 無処理試験体と難燃処理試験体の屋外暴露試験における色差(ΔE *ab)の変化
写真1 難燃処理塗装木材の屋外暴露試験 |
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