研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2018年紹介分 > 気候変動の緩和策、適応策、生物多様性の保全策間のシナジーを高める制度的条件を明らかにした
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2018年3月8日掲載
論文名 |
Synergies among climate change and biodiversity conservation measures and policies in the forest sector: A case study of Southeast Asian countries (森林セクターにおける気候変動及び生物多様性保全策・政策間のシナジー:東南アジアの国々の事例研究) |
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著者(所属) |
森田 香菜子(国際連携・気候変動研究拠点)、松本 健一(長崎大学) |
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掲載誌 |
Forest Policy and Economics、87:59-69、February 2018、 DOI:10.1016/j.forpol.2017.10.013(外部サイトへリンク) |
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内容紹介 |
気候変動対策や生物多様性/生態系保全策(以下、生物多様性保全策と記す)の対策間の重複を無くし、シナジー(相乗的便益)を生み出せるような対策のあり方に関する議論が国際的に高まっています。森林セクター(森林分野)では気候変動の緩和策、気候変動への適応策、生物多様性保全策の3つの対策を統合的に実施することが期待されますが、3つの対策のシナジーの可能性やそのための条件を示した研究はほとんどありません。そこで本研究は、途上国の国内の制度や活動に焦点を置き、森林セクターで重要な3つの対策を統合的に実施できるかどうかを、制度に関する4つの区分(政策・戦略、制度枠組、資金供給、プログラム・プロジェクト)について評価指標を設定し、実際に東南アジアの5か国について評価・分析を行って制度的条件を示しました。 その結果、東南アジアの5か国すべてで、森林セクターで3つの対策間のシナジーを高めるには、3つの対策を扱う国家委員会の設立や省間連携の促進、分野横断的な基金やプログラム・プロジェクトの設立等、それぞれの区分で改革が必要なことが示されました。制度的条件は、次の4つに集約することができました。 1)3つの対策を扱う法制度の整備 2)3つの対策を扱う国家委員会の設立および環境と森林を扱う省間連携の促進 3)3つの対策を扱う共通基金の設立 4)3つの対策を扱うプログラム・プロジェクトの設立
表1. 評価指標
表2. タイとベトナムの分析事例
注)分析結果の一部を掲載。赤字は、タイが制度枠組みの観点で、ベトナムが資金供給やプログラム・プロジェクトの観点で、3つの対策間のシナジーを生み出すポテンシャルが他の国に比べて高いことを示しています。 |
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