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2018年8月6日掲載
論文名 |
Evaluation of soil compaction by a tracked vehicle in a planted Abies sachalinensis forest in Hokkaido, Japan(日本、北海道のトドマツ人工林における無限軌道車両による土壌圧密の評価) |
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著者(所属) |
橋本 徹(北海道支所)、相澤 州平(立地環境研究領域)、伊藤 江利子(北海道支所)、倉本 惠生(森林植生研究領域)、佐々木 尚三(北海道支所) |
掲載誌 |
Journal of Forest Research 23(4) 、日本森林学会、2018、DOI:10.1080/13416979.2018.1469210(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
林業機械を利用した木材伐採・収穫作業は労働生産性が高く、作業者にとっても安全ですが、大型機械が直接林地に入るため、わだちの形成や土の踏み固め(土壌圧密)が生じることがあります。これらは、将来の樹木成長に様々な影響を及ぼす可能性があります。そこで、傾斜4°の40年生トドマツ林において、林業機械を林地に走らせる野外試験を行い、わだちの深さと土壌圧密の実態を調べました。また、林地に対する機械影響を緩和する条件探索のため、走行路に枝条を散布して走行する、積雪上を走行するといった試験を行いました。 その結果、今回の野外実験では、明確に溝と認識されるようなわだちは形成されませんでした。土壌が乾いている等条件が整えば、深いわだちにはならない場合もあるようです。また、土壌圧密の指標である土壌貫入抵抗値は、機械の走行回数によって増加しました。その傾向は枝条を散布した条件でも同様であり、枝条散布による林地の保護効果は見られませんでした。一方、積雪期の機械走行では土壌圧密の変化が小さく、積雪による保護効果が示唆され、樹木の生長への影響が少ないと考えられます。 今回の結果は、積雪が林業機械の走行による土壌圧密の増加を緩和する場合があることを示しています。今後、さらに異なった環境条件で同様な研究を積み重ね、林業機械の直接走行による林地やその後の造林作業への影響を解明します。
写真1:実験的に散布した枝条の上を重機が走行する
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