研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2018年紹介分 > 木造建築と減築を活用して老朽化マンションをリニューアル
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2018年12月17日掲載
論文名 |
減築と木造増築による老朽化マンションの再生に伴う国産材利用拡大の可能性 |
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著者(所属) |
青井 秀樹(林業経営・政策研究領域) |
掲載誌 |
林業経済 71(8):1-16、(一財)林業経済研究所、2018年11月 DOI:10.19013/rinrin.71.8_1(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
わが国におけるRC(鉄筋コンクリート)造を主体とする共同住宅のストックは2,209万戸あり、このうち3~5階建ては835万戸にも上ります。これらは老朽化しつつありますが、多くを所有する自治体に財政的な余裕が乏しいため、新たに建て替えることが困難な状況です。またエレベータが無いものも多く、上層階の入居が見送られる傾向にあります。 そこで5階建て、エレベータ無しの共同住宅を想定して、最上階(5階)を取り壊した(減築)後に木造で5-6階を増築し、階数と床面積を増やすリニューアル手法を提案しました。この手法では、増築した建築物の重さが元々の重さ以下になるために建築物が沈下する可能性が無く、またエレベータの増設等で利便性を増し、入居者増による賃料増収でリニューアル費用を賄うことを目指しています。 建設費等の試算の結果、リニューアル費用はRC造の6階建て新築と比較して、約4割程度に抑えられることが分かりました。また、入居者増によるリニューアル費用の回収は、共同住宅が好立地であれば、12年程度で回収できることが分かりました。この手法は既存ストックを活用できること、建設費を抑制できる等のメリットがあり、設計事務所、プレカットメーカー、ゼネコン等の施工側の主体に対し、本手法を通じた国産材利用を働きかけていきます。
注:国土交通省によって建築物の耐震性能や容積率等が定められていますが、リニューアル手法を適用した建築物においても、それらの規定を満たすことを前提としています。
図1:リニューアルの手順。 備考:記載論文の図を一部改変して使用した。 |
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