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形質に関連する遺伝マーカーを効率的に開発して無花粉スギの選抜を加速

2019年3月19日掲載

論文名

Scanning RNA-Seq and RAD-Seq approach to develop SNP markers closely linked to MALE STERILITY 1 (MS1) in Cryptomeria japonica D. Don(RNA-SeqおよびRAD-Seq解析による、スギの雄性不稔遺伝子(MS1)に連鎖した近傍のSNPマーカーの開発)

著者(所属)

上野 真義・内山 憲太郎(樹木分子遺伝研究領域)、森口 喜成(新潟大学)・伊原 徳子・松本 麻子・魏 甫錦(樹木分子遺伝研究領域)、斎藤 真己(富山県農林水産総合技術センター森林研究所)、樋口 有未(元新潟県森林研究所)、二村 典宏(樹木分子遺伝研究領域)、金森 裕之・片寄 裕一(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)・津村 義彦(現筑波大学)

掲載誌

Breeding Science 69 (1), March 2019 DOI:10.1270/jsbbs.17149(外部サイトへリンク)

内容紹介

生物の色や形のような特徴(形質)は、その形質に関係する遺伝子の働きにより決められます。ある形質に関連する遺伝子を探索するには、従来は100~200程度の個体を用いて多数の遺伝マーカーを解析し、形質と強く相関するマーカーを探し出す必要がありました。

今回、「無花粉スギ」の示す雄性不稔形質を持った交配家系を対象に、新型DNA配列解読装置から得られた大量のDNA配列データを解析しました。雄性不稔個体と正常な個体のグループからデータをまとめて収集し、グループ間で塩基配列と雄性不稔形質との間の相関の程度を表す指数を計算しました。その指数をもとに遺伝マーカーを開発し、交配家系に適用して解析したところ、雄性不稔形質に強く相関する遺伝マーカーを効率よく設定できることが確認されました。

この結果は、雄性不稔形質を対象に関連する遺伝マーカーを効率的に開発する方法を示していますが、雄性不稔形質にとどまらず質的な形質に関連するマーカー開発に広く応用が可能です。

 

注)遺伝マーカー:遺伝子は親から子供へ伝えられますが、その動きを追跡するためには目印(マーカー)が必要です。例えばヒトの血液型も遺伝マーカーとして利用できます。近年ではDNAの塩基配列の違いがマーカーとして広く利用されています。


(本研究は2019年2月15日にBreeding Science誌にオンライン公表されました。)

 

図:雄性不稔形質に関連する遺伝マーカーの効率的な開発に関する概念図

図:雄性不稔形質に関連する遺伝マーカーの効率的な開発に関する概念図

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【研究担当者】
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