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科学的な解析に基づいたカラマツ造林地の下刈り実施判断基準が明らかに

2019年4月12日掲載

論文名

雑草木による樹冠被圧がカラマツ植栽木の生残および初期成長に及ぼす影響

著者(所属)

原山 尚徳・津山 幾太郎(北海道支所)、倉本 惠生(森林植生研究領域)、上村 章(植物生態研究領域)、北尾 光俊(北海道支所)、韓 慶民(植物生態研究領域)、山田 健・佐々木 尚三(北海道支所)

掲載誌

日本森林学会誌、100巻5号、158-164、日本森林学会、2018年10月 DOI:10.4005/jjfs.100.158(外部サイトへリンク)

内容紹介

下刈り作業は、造林地に植栽した苗木の周辺に繁茂する雑草木を刈払い、植栽木の順調な成長を促す重要な作業です。その一方で、造林コストに占める割合が高く、夏場に行う作業は非常に過酷なため、下刈り作業を省略できないか?という現場のニーズがあります。現在、雑草木に覆われたとき(写真1)に下刈りを行うかどうかは、これまでの経験や勘によって判断されており、科学的な裏付けが不十分でした。

そこで私達は、冷温帯の主要な造林樹種であるカラマツについて、どの程度雑草木に覆われると植栽木の生存率や成長量が低下するかを統計モデル解析によって明らかし、科学的な解析に基づいた下刈り実施の判断基準を提示することを目的に研究を行いました。その結果、カラマツの植栽木は、樹冠の四分の三以上を雑草木に覆われたままでいると、生存率(図1)や樹高成長・直径成長が大幅に低下してしまうこと、ササと草本類のどちらに覆われても植栽木への影響はあまり変わらないこと、大きなサイズの苗木を植栽するほうが下刈り省力化には有効であることが明らかになりました。

今回の研究によって、カラマツ造林地での下刈り実施の判断基準が明確になり、誰でも簡単に下刈り要否を決める事ができます。

(本研究は2018年10月に日本森林学会誌に公表されました。)

 

写真1:雑草に約75%覆われたカラマツ植裁木

写真1:雑草に約75%覆われたカラマツ植裁木

 

 

図1:統計モデルから推定したカラマツ植裁木の累積生存率の経年変化
図1:統計モデルから推定したカラマツ植裁木の累積生存率の経年変化

 

お問い合わせ先
【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄
【研究担当者】
森林総合研究所 北海道支所 原山 尚徳
【広報担当者】
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