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2019年4月12日掲載
論文名 |
高知県のヒノキ人工林における間伐後の樹冠葉量の変化 |
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著者(所属) |
稲垣 善之(四国支所)、深田 英久(高知県森林技術センター)、野口 享太郎(東北支所)、倉本 惠生(森林植生研究領域)、中西 麻美(京都大) |
掲載誌 |
森林応用研究、27巻、1-9、応用森林学会、2018年2月 |
内容紹介 |
ヒノキやスギといった人工林では、20-30年で葉が十分に生い茂った状態(林冠閉鎖)になります。林業では、良い木材を生産するために林冠閉鎖後に間伐作業を行います。この間伐作業により、林冠の下部の葉まで陽光があたり、残った樹木全体の葉量が増加して幹の肥大成長を促します。従って間伐の効果を評価するためには、間伐後の林冠葉量の変化を正確に推定することが重要となります。そこで本研究では、ヒノキ人工林において葉量の変化を推定する手法を開発しました。 林冠閉鎖の状態では、地上1.3mの幹直径と樹高から葉量を推定する式(アロメトリー式)を作成します。しかしこの方法では間伐に伴う葉量の変化を推定することができませんでした。そこで地上1.3mの幹直径、樹高、生枝下高、平均気温から葉量を推定する式を新たに作成しました。生枝下高とは、樹冠の一番下にある生きた枝の基部の高さです。さらに高知県において間伐後5年間の葉量の変化を調べたところ、本推定式で求めた葉量の変化が林内の相対照度の変化や既存のモデルとよく対応していることがわかり、本推定式が有効であることが証明されました。 この式を使うことで、間伐の強さと幹の肥大成長の理論的な解析が可能となり、効率的な木材生産のための間伐手法の開発に役立ちます。 (本研究は2018年2月に森林応用研究誌に公表されました。) 図1:樹冠長を考慮した葉量推定のための新たなアロメトリー式 図2:2つの方法で推定したヒノキ人工林における間伐後の葉量回復までの年数 各点はそれぞれ異なる林分を表す。これまでモデルより簡便に葉量を推定できる。 |
お問い合わせ先 |
【研究推進責任者】 森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄 【研究担当者】 森林総合研究所 四国支所 稲垣 善之 【広報担当者】 森林総合研究所 広報普及科広報係 【取材等のお問い合わせ】 相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp 電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分) |
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