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2019年6月7日掲載
論文名 |
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著者(所属) |
小長谷 啓介(きのこ・森林微生物研究領域) |
掲載誌 |
Mycoscience, 60(1):40-44, January 2019, DOI:10.1016/j.myc.2018.08.002(外部サイトへリンク) Mycoscience, 60(2):95-101, March 2019, DOI:10.1016/j.myc.2018.12.002(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
マツタケやトリュフなどに代表される外生菌根菌は、樹木の根と共生して「外生菌根」をつくり、樹木から栄養分を獲得してきのこを発生させます。この外生菌根菌のきのこの発生には、樹木だけではなく菌根の周囲に生息する様々な土壌微生物も影響していると考えられますが、これらの関係についてはまだ十分に明らかにされていません。本研究ではまず初めに、外生菌根菌のキツネタケを対象に、外生菌根の周辺に生息する細菌相を調査しました。その結果、リゾビウム目の細菌が高頻度で生息することがわかりました。その中には、今回最も高頻度で確認された窒素循環に関わる細菌の一群であるBradyrhizobium属など、養分動態に関わる種が含まれていました。次に、外生菌根の周辺に生息するこれらの細菌がキツネタケの菌糸伸長にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにするため、平板培地上での対峙培養試験を行いました。その結果、多くの細菌はキツネタケの菌糸伸長を抑制する傾向を示したのに対して、Bradyrhizobiumなどの一部の細菌は菌糸伸長に影響を与えない、あるいは促進することが明らかとなりました。これら細菌を活用することで、キツネタケのきのこの発生に至る生育や菌根菌との働きが向上されることが考えられます。今後は、このような細菌類が菌根の発達やきのこの発生に及ぼす影響を調べ、外生菌根菌のきのこの栽培技術開発に繋げていきたいと考えています。 (本研究は2019年1月と3月にMycoscience誌にオンライン公表されました。)
図 キツネタケのきのこ(左)と菌根(右)
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お問い合わせ先 |
【研究推進責任者】 森林総合研究所 研究ディレクター 山中 高史 【研究担当者】 森林総合研究所 きのこ・森林微生物研究領域 小長谷 啓介 【広報担当者】 森林総合研究所 広報普及科広報係 【取材等のお問い合わせ】 相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp 電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分) |
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