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人工林の大径かつ長尺材生産のための伐出作業システム

2019年6月25日掲載

論文名

Productivity of logging large diameter logs and long logs during final cutting in a mountain forest in Japan. (日本の山岳林の主伐における大径・長尺材の伐出生産性) 

著者(所属)

中澤 昌彦・吉田 智佳史・佐々木 達也・瀧 誠志郎・上村 巧・伊藤 崇之・山口 浩一・毛綱 昌弘・有水 賢吾・猪俣 雄太・鈴木 秀典・山口 智・宗岡 寛子・田中 良明(林業工学研究領域)、陣川 雅樹(九州支所長)、図子 光太郎・相浦 英治(富山県森林研究所)

掲載誌

International Journal of Forest Engineering, April 2019, DOI:10.1080/14942119.2019.1599225(外部サイトへリンク)

内容紹介

日本の人工林は半数以上が50年生以上と成熟期を迎え、高齢化した大径木を計画的に伐採・利用することが求められています。また用途の拡大に伴い、6~8m以上の長尺材(普通は4m)の需要増が期待されています。そこで本研究では、大径木(胸高直径40cm以上)からなるスギ林分において、大きさの異なる機械(中型と大型)を用い、長さの異なる丸太(4m、6m、8m)造材に関する生産性を評価しました。この結果、材長にかかわらず大型機械システム(質量16tの造材機械と積載量6tの運搬車両)では高い生産性が維持され、中型機械システム(質量13tと積載量4t)では長尺材で生産性が下がることが分かりました。また、大径木を伐倒する技術として中欧で普及している機械式くさび(ラチェットによりねじを回して挿入)を日本で初めて実証した結果、手斧を用いる従来のくさびに比べ伐倒生産性が僅かに下がりますが、労働負荷の軽減等により安全性が高くなりました。この成果は、高齢林の計画的な伐採・利用の推進、長尺材の安定的な供給に貢献します。

(本研究は2019年4月11日にInternational Journal of Forest Engineering誌にオンライン公表されました。)

 

写真:中型と型機械を用いた作業システム

写真:(a)中型と(b)大型機械を用いた作業システム

(中型は、一般的に使われている大きさ。大型は、日本の作業条件に適用できる最大クラス。運搬車両に8m材を積載すると、中型では不安定になるが、大型では安定する。造材機械も作業時同様の傾向。)

写真:従来と機械式のくさびを使った伐倒方法
写真:(a)従来と(b)機械式のくさびを使った伐倒方法。
(従来のくさびは手斧で打撃するため身体への反動が強く、また上方へ伐倒する場合に立木の斜面下側に位置しなければならないため危険。機械式は立木の横からラチェット式ハンドルで回転させながら挿入するため安全で軽労。)

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【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄
【研究担当者】
森林総合研究所 林業工学研究領域 中澤 昌彦
【広報担当者】
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