研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2020年紹介分 > トドマツ林伐採後のカンバ天然更新に地がきは有効だが限界もある
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2020年1月17日掲載
論文名 |
トドマツ人工林伐採後の地がき施業によるカンバ等の更新への効果 |
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著者(所属) |
伊東 宏樹・中西 敦史・津山 幾太郎・関 剛(北海道支所)、倉本 惠生(森林植生研究領域)、飯田 滋生(九州支所)、石橋 聰(北海道支所) |
掲載誌 |
森林総合研究所研究報告、18(4)、355-368、森林総合研究所、2019年12月 |
内容紹介 |
北海道には伐期を迎えたトドマツ人工林が広くあります。その中には、伐採後の再造林の費用を考えると、カンバ類(シラカンバ・ダケカンバ・ウダイカンバ)などからなる広葉樹林に転換する方が望ましい場所もあります。これまで北海道のササ原などでは、地表面をはぎ取ってササ類の根を取り除く地がきを行うことで、比較的簡単にカンバ類の天然更新ができると考えられてきました。しかし、トドマツ人工林の皆伐跡でも地がきが有効かどうかはよくわかっていませんでした。 今回、トドマツ人工林皆伐地を調査した結果、地がきが、競合する雑草木の繁茂を抑制することにより、カンバ類の稚樹の定着を促進する効果を持つことがわかりました。しかし、カンバ類の稚樹の数は、過去の地がきによるカンバ類の天然更新の例と比較すると、大幅に少ないものでした。その理由としては調査地周辺に母樹が少なく、散布種子数が十分でなかったことが挙げられます。また、地がきをしても雑草木が激しく繁茂して更新が危ぶまれるところもありました。 トドマツ人工林の伐採後にカンバ類の天然更新を図る場合、地がきに更新を促進する効果があることが解りました。しかし実際の計画立案の段階では、状況に応じてカンバ類の播種や雑草木の刈り払いを想定しておくことも必要であると考えられます。 (本研究は2019年12月に森林総合研究所研究報告に公表されました。)
図:トドマツ人工林皆伐地における、植生群落高とカンバ類稚樹密度との関係。各線は、それぞれの処理におけるカンバ類稚樹密度の予測値。植生群落高が高くなるとカンバ類稚樹密度が低くなる。また、ササ原などの地がきによるカンバ類の天然更新稚樹密度に比べ、全体的に低い値である。 |
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