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高性能林業機械でも労働災害に注意が必要だ

2020年4月20日掲載

論文名

林業機械を対象とした労働災害発生頻度の推定

著者(所属)

猪俣 雄太・山口 浩和・有水 賢吾(林業工学研究領域)

掲載誌

森林利用学会誌 34巻3号 森林利用学会 2019年7月 DOI:10.18945/jjfes.34.123(外部サイトへリンク)

内容紹介

日本の林業では、人力によるチェーンソー作業が原因で、多くの労働災害が発生しています。一方、近年大型の高性能林業機械が増加していますが、その労働災害の発生頻度はわかっていませんでした。機械化された林業では、フェラーバンチャやハーベスタで木を伐り(伐採)、作業道を作れる場所ではスキッダやフォワーダ等の車両で、また急斜面ではタワーヤーダ、スイングヤーダ等のワイヤーを用いた集材を行い、プロセッサで木を丸太にします(造材)。こうした作業に対し、労働災害の発生頻度を統計資料から解析しました。その結果、日本の9年間の平均労働災害発生頻度と比較して、発生頻度が低い作業機械と、発生頻度が1.3~3.2倍となる作業機械があることがわかりました。詳細に調べると、伐木・造材作業を担う機械の災害発生頻度は低く、集材作業を担う機械、特にワイヤーを用いた集材機で災害頻度が高くなりました。ここで高性能林業機械別の労働災害頻度をもとに、伐倒木をタワーヤーダで集材し、プロセッサで造材、グラップルでフォワーダに積んで運搬する方法を選択すると、年間約50組に1件の割合で労働災害が発生すると試算できました。労働災害発生頻度が比較的高い林業機械が存在することは、機械化林業に対してさらなる安全対策が必要であることを示したと言えます。

 

(本研究は2019年7月に森林利用学会誌に公表されました。)

 

図 高性能林業機械の労働災害頻度

図 高性能林業機械の労働災害頻度(図中の点線は国内の全産業の9年間の平均値)

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