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2020年10月16日掲載
論文名 |
Flocculation properties of polyethylene glycol-modified lignin (PEG改質リグニンの凝集特性) |
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著者(所属) |
髙橋 史帆、ネー ティ ティ、髙田 依里、大橋 康典、山田 竜彦 (新素材研究拠点) |
掲載誌 |
Separation and Purification Technology、253(15)、117524、December 2020 DOI:10.1016/j.seppur.2020.117524(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
私たちは、スギ材からポリエチレングリコール(PEG)を用いて抽出した改質リグニンと呼ばれる新素材の製造技術を開発し、その生産効率の向上を検討しています。製造プロセスにおいては、改質リグニンを抽出した溶液を中和することで改質リグニン粒子を含む懸濁液に変え、これを濾過してリグニンを分離します。しかし、改質リグニンの粒子は細かく、濾過の障害となっていました。これを解決するためには、改質リグニンの粒子サイズを大きくすることが重要です。本研究は、改質リグニンの濾過効率向上を目的とし、粒子径に与える温度の影響について検討しました。その結果、改質リグニン懸濁液を50℃以上で加温するだけでその粒子が凝集して大きくなり濾過速度が向上しました。一方、紙パルプ製造工程から副産するクラフトリグニンやソーダリグニンは50℃程度の加温では粒子の凝集はほとんど見られず、比較して改質リグニンは凝集しやすい特性があることを確認しました。また、改質リグニンには、抽出に用いたPEGが一部結合しますが、そのPEGの分子長が長いほど、加温処理により凝集し易いことも見出しました。 本論文の成果は、改質リグニン製造プロセスの濾過工程効率化に大きく貢献しました。
(本研究は2020年10月にSeparation and Purification Technologyでオンライン公表されました。)
図1 改質リグニンの固形分離工程。 |
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