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和製ハーブ「クロモジ」茶の香りの効果が明らかに

2021年3月22日掲載

論文名

Subjective Effects of Inhaling Kuromoji Tea Aroma(クロモジ茶の香り吸入による主観的効果)

著者(所属)

松原 恵理(複合材料研究領域)、森川 岳(構造利用研究領域)、楠本 倫久・橋田 光・松井 直之・大平 辰朗(森林資源化学研究領域)

掲載誌

Molecules、26(3)、575、Jan 2021 DOI:10.3390/molecules26030575(外部サイトへリンク)

内容紹介

クロモジはクスノキ科の落葉低木であり、本州から九州の山地に自生しています。茶道で使われる爪楊枝の材料としても知られていますが、産地では昔から煎じてお茶として飲む習慣があり、その独特な香りなどが注目されていました。しかしながら、その香りの組成や人に及ぼす効果については明らかにされていませんでした。

本研究では、実際にお茶を飲む場面を想定して、クロモジ茶に鼻を近づけて香りを嗅ぎ、さらに茶を口に含んだときの、主観的・生理的な効果について調査しました。クロモジ茶は、リナロール(フローラルな香り)やカルボン(ミント系の香り)、ゲラニオール(バラ様の香り)などの香り成分を含み、それらの香りは人に、爽やかさや華やかさ、美味しさなどを感じさせる(図1)ことが分かりました。また、クロモジ茶の香りには唾液分泌を促進し、口に含むことで交感神経活動を活性化する可能性があることも分かりました。

クロモジ茶の香りに関する科学的なエビデンスはクロモジの需要拡大に繋がり、ひいては山村などの地域の活性化に貢献できると考えます。

 

(本研究は、2021年1月、Moleculesで公表されました。)

 

写真:実験の様子

写真:実験の様子(茶が入ったコップを鼻に近づけて香りを嗅いでいる)

 

 

図1:鼻で茶の香りを嗅いでいるときの結果

図2:茶を口に含んでいるときの結果

図1:主観的な評価の結果((左)鼻で茶の香りを嗅いでいるとき、(右)茶を口に含んでいるとき)

横軸は各評価語「爽やかな」「華やかな」「好きな」「おいしそうな」、縦軸は各評価語の得点を示しています。得点が高いほど、香りの印象としてより強いことを表しています。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 眞柄 謙吾
【研究担当者】
森林総合研究所 複合材料研究領域 松原 恵理
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
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電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

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