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木材生産事業者を悩ませる小規模山林所有の実態と課題

2021年7月5日掲載

論文名

小規模山林所有が素材生産と立木売買に与える影響 ―宮崎県南部および北部の比較から―

著者(所属)

御田 成顕(東北支所)、知念 良之(東京大学)、尾分 達也(宮崎大学)、奥山 洋一郎(鹿児島大学)

掲載誌

林業経済、73巻11号、1-11、2021年2月 DOI:10.19013/rinrin.73.11_1(外部サイトへリンク)

内容紹介

日本の森林の約4割を占めるスギやヒノキなどの人工林は、その多くが主伐して利用する段階を迎えています。丸太の生産量は増加傾向にあり、同時にスギなどの国産材の需要は拡大しています。しかし、私有林の多くは小規模でかつ分散しているために、効率的な木材生産が難しくなっています。

そこで宮崎県を対象に、小規模山林における木材生産の課題を検討するため、立木の伐採や苗を植えて造林を行う事業者へアンケート調査を行いました。その結果、こうした事業者は、「山林の権利の所在を確認すること」を重荷に感じており、特に山林規模が小さい地域では「山林所有者を特定すること」が最大の悩み事であることがわかりました。そして、このような地域では、事業者が木材生産をする場所を確保するときに山林所有者と直接取引せず、小規模な山林を取りまとめる業者を介して山林を売買することが多いことが示されました。

そのような仲介業者が所有者に無断で山林を事業者へ販売し、そして山林が伐採されるといった問題が発生している場合もあったことから、事業者が直接山林所有者に、その権利を確認することが重要であることがわかりました。そのためには、山林所有などの情報を整備して木材生産事業者へ公開することが必要です。

(本研究は、2021年2月に林業経済で公表されました。)

 

写真:宮崎県のスギの伐採現場と新しく植えられた苗木

写真:宮崎県のスギの伐採現場と新しく植えられた苗木。
持続可能な林業を行うためには、伐採し、植林し、育てるといった循環を作っていくことが大切です。

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