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コンテナ苗生産者へのアンケート調査から見る、コンテナ苗生産の実態と量産化へのカギ

2021年7月9日掲載

論文名

山林用針葉樹コンテナ苗における育苗方法の現状と課題 ―全国のコンテナ苗生産者に対するアンケート調査より―

著者(所属)

小笠 真由美(関西支所)、藤井 栄(徳島県立農林水産総合技術支援センター)、飛田 博順(植物生態研究領域)、山下 直子(関西支所)、宇都木 玄(研究ディレクター)

掲載誌

日本森林学会誌、103(2)、P.105-116 2021年6月 DOI:10.4005/jjfs.103.105(外部サイトへリンク)

内容紹介

コンテナ苗の本格的な生産が開始されておよそ10年が経過し、その生産量は年々増加しています。コンテナ苗の育苗マニュアルは、林野庁や都道府県ごとに関係機関から発行されているものの概略的な構成となっており、実際の生産現場における育苗方法やその問題点、生産様式と生産規模の関係についての具体的な全体像がわかっていませんでした。そこで全国のコンテナ苗生産者を対象に育苗方法についてアンケート調査を行い、コンテナ苗の育苗方法の実態と、大量生産を行っている生産者の特徴を解析しました。

その結果、生産者が実際に行っている育苗方法は、関係機関が発行する育苗マニュアルと概ね一致していましたが、問題点として栽培条件の不均一性(主に潅水と施肥)や苗高成長のばらつき、根鉢形成不良等が挙げられ、生産者が得苗率を改善するための育苗方法の開発を望んでいることが明らかとなりました。またコンテナ苗の生産本数と生産様式の関係の解析から、裸苗生産に基づく育苗方法や生産経験が豊富である生産者や、効率的な生産工程や労務負担を軽減する基盤施設を整備している生産者で、コンテナ苗の量産化が進んでいることも明らかになりました。

これらの結果は、今後の関係機関による育苗試験の基礎的な知見となることに加え、生産者に向けたコンテナ苗生産の基礎資料としても重要です。

(本研究は、日本森林学会誌で2021年6月にオンライン公表されました。)

 

写真:スギコンテナ苗の育苗の様子

写真:スギコンテナ苗の育苗の様子(森林総合研究所関西支所)。
従来の裸苗が苗畑に地植えされて生産されるのに対し、コンテナ苗はマルチキャビティコンテナという資材を使って育苗されるため、その生産には独自の育苗方法が求められます。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄
【研究担当者】
森林総合研究所 関西支所 小笠 真由美
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp
電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

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