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路網資材としてのモウソウチクは土の中で強度が早く低下する

2021年7月12日掲載

論文名

排水素材としての利用を想定したモウソウチク(Phyllostachys heterocycla f. pubescens)の暴露期間と曲げ強度との関係

著者(所属)

山口 智(林業工学研究領域)、井道 裕史・加藤 英雄・長尾 博文(構造利用研究領域)、渋沢 龍也(研究ディレクター)、鈴木 秀典・宗岡 寛子・田中 良明(林業工学研究領域)、陣川 雅樹(研究コーディネーター)

掲載誌

木材工業、76巻7号、p250-257、日本木材加工技術協会、2021年7月

内容紹介

林業作業用に作られる道路はほとんど舗装されないため、雨水などで削れて壊れることが多くあります。その対策として道を横切る溝をこまめに掘って排水しますが、溝は凸凹となるため車両では走行しづらくなります。そこで近年の管理不足から無秩序な増殖が問題となっているモウソウチクを凹凸の緩衝材として利用することを考え、モウソウチクの腐朽による強度低下量と腐朽に要する時間を調査しました。

割ったモウソウチクを杭状に半分埋めて屋外で暴露し、暴露した試験体から定期的に何本か抜き取って細い試験体を製作し、それらの曲げ試験により密度と強度を調べました。その際、暴露した時の地表面にあたる位置を基準として暴露した試験体を上部・地際部・下部の3つに分けて比較しました。その結果、土に接触していない上部に比べ、土に半分埋まっていた地際部と全て土中に埋まっていた下部では類似して腐朽の進行が早い傾向にあり、高温多湿な夏を経ることでその差がより顕著になる可能性が考えられました。また、暴露期間の長期化に伴う密度の低下とともに強度も低下したことから、密度は強度に関する指標の一つと確認することができました。

モウソウチクを利用するにあたって強度の低下を予測する指標を得ることができたことから、林業作業道にモウソウチクを資材として利用するための有効な知見が得られました。

(本研究は、2021年7月に木材工業で公表されました。)

 

写真1:緩衝材として割竹の束を溝にはめ込んだ簡易な横断排水施設

写真1:緩衝材として割竹の束を溝にはめ込んだ簡易な横断排水施設

 

写真2:杭状に屋外暴露される割竹の暴露試験体

写真2:杭状に屋外暴露される割竹の暴露試験体

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄
【研究担当者】
森林総合研究所 林業工学研究領域 山口 智
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
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