研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2023年紹介分 > 天然更新のヒノキ林、伐採後の下層木の損傷状態が推定可能に
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掲載日:2023年12月7日
天然更新のヒノキ林において、上層木の伐採にともなう下層木の損傷状態を推定する手法を開発しました。この手法により、下層木が損傷する量を軽減できる上層木の伐採方法を検討することができるようになります。
これまでの人工林施業では、伐採後に人工的な植栽を行なうことが通常です。一方伐採前に天然更新させた下層木を伐採後の更新木として利用できれば、造林作業労力の軽減が期待できます。これまでの研究では、伐採による下層木の損傷状態を定量的に評価できず、天然更新が造林作業の軽減にどの程度寄与できるのか算定できませんでした。本研究はこの算定を行うために、ヒノキ林を対象として伐採後の損傷状態を推定し、実際の伐採における下層木の損傷の状態からその推定精度の検証をおこないました。まず、伐採前後の下層木を調査し、施業地に残存する下層木の平面分布を明らかにしました(写真1)。次に伐採木の位置、形状、伐倒方向、木寄せ方向から下層木の損傷状態を空間的に推定し、実際に観測された下層木の平面分布と比較しました(写真2)。
この結果、下層木は伐採後に施業地面積の2割弱に残存していることがわかりました。また開発した手法は、伐採後の下層木の平面分布を70%の精度で推定できることが分かりました。この手法を用いて伐採計画を立てれば、伐採前に天然更新した下層木を有効に活用することが期待できます。
(本研究は、International Journal of Forest Engineeringにおいて2023年4月にオンライン公開されました。)
写真1:伐採前の状況。
上層木の下方に天然更新したヒノキが見えます。(撮影日:2021年4月20日、場所:長野県茅野市)
写真2:伐採中の状況。
伐倒された上層木は下層木を損傷させます。(撮影日:2021年4月27日、場所:長野県茅野市)
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