研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 海岸林に広葉樹、高木×成長の良い低木の組み合わせを推奨
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掲載日:2024年1月15日
樹木が大規模に枯れてなくなった徳島県の海岸林にクロマツと11種類の広葉樹苗木を植えて成長を追跡したところ、将来に海岸林を構成する高木種と、成長の良い低木・亜高木種を組み合わせて植栽するとよいことがわかりました。(図1)マツ材線虫病などで衰退しているクロマツの代わりに導入が検討されている広葉樹をめぐって、樹種の組み合わせなどを盛り込んだ指針作りに役立つ成果です。
徳島県大里松原海岸林では、2019年に台風による高潮被害で海岸林の半分、およそ12haで樹木が枯れてなくなりました。またこの地域には以前からシカが頻繁に出没していました。この海岸林を再生する具体的な指針を得るため、クロマツと11種類の広葉樹苗木を合計240本植えて成長を2年間観察しました。その結果、クスノキ、ヤブニッケイ、タブノキ、ホルトノキといった高木種は成長するものの強い日差しによる葉の傷みがみられた一方、トベラ、ヤマモモ、ヒメユズリハといった低木・亜高木種は強い日差しを受けても旺盛に成長しました。(写真1)ただし、トベラ、マサキ、ホルトノキなどは2年目にはシカに枝葉を激しく食害され平均樹高が下がりましたので、シカが出没する海岸林では植栽後に防護柵を設置する必要があります。(写真2)。
クスノキやヤブニッケイなどの高木種だけでなく、トベラやヤマモモなどの成長の良い低木・亜高木種を組み合わせることによって、植栽後いち早く低木・亜高木種が樹林を形成して高木種に日陰を提供し、その後に高木種が大きく成長して海岸林ができあがると考えられます。
(本研究は、森林立地において2023年12月25日に公開されました。)
写真1:植栽後1年が経ち元気に伸びるヒメユズリハと、高潮被害で枯れて伐倒されたクスノキの切り株
写真2:シカに葉を食べられて軸だけになったマサキ
図1:無立木化した海岸林での12種の成長
トベラやホルトノキは順調に成長していたが、のちにシカ被害を受けて小さくなった。
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