研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 森林の訪問・体感利用が描きだす持続可能な社会への可能性
ここから本文です。
掲載日:2024年3月4日
人間が森林を訪れて触れ合う「訪問・体感利用」は、森林と親しむきっかけとなるばかりでなく、異なる価値や多様な文化的背景を持つ人々が、軋轢・対立を乗り越え、共に持続可能な地域づくりを目指す契機となりうることが分かりました(写真)。
人類史を通じて、森林は、用地(土地)としての開発利用や木材等の物質利用の対象であり、また、水や土を保全し、二酸化炭素を吸収固定し、生物多様性を担保するものとして価値づけられてきました。しかし、都市化が進み、農山村地域で直接、森林と関わる人々が少なくなってきた今日、森林の訪問・体感利用が、人々が森林との繋がりを保ち、森林の持続的な利用や効果的な保全を促すきっかけとしての重みを増すようになりました。実際に、近年では、多種多様なレクリエーション活動等の発展を通じて、森林の訪問・体感に価値を見出す人々が多くなってきました。この発展は、一面において、訪問・体感する人々同士、或いは森林の所有者・管理者との間に、深刻な軋轢・対立を生むことにもなりました。しかし、それは同時に、異なる価値を認識する人々が、地域の森林という現場を舞台に、お互いの立場や望ましさを学び合い、多様性の中での持続可能な社会構築を共に目指していく機会ともなっています。
こうした森林の訪問・体感利用の発展とそれへの注目は、2019年度から林野庁の主導で本格化した「森林サービス産業」という施策の中にも表れています。
(本研究は、2023年11月に林業経済で公表されました。)
写真:森林をめぐっては、外部からの訪問・体感利用という直接的な関わりの位置づけが、近年、世界的に高まってきた。
お問い合わせ
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.