研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 土壌の締め固めは植生繁茂を抑制し、トドマツ苗木の成長を抑制しない
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掲載日:2024年9月27日
本州に比べると北海道には地形が平坦な森林が多く、大型の林業機械が作業道だけでなく森林内を走行して作業を行うことが少なくありません。林業機械が走行すると機械の重みで土壌が締め固められますが、これは苗木の成長や雑草木の繁茂にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
本研究では、北海道の主要な造林樹種であるトドマツの苗木を対象に、北海道支所の実験林苗畑で実験的に土壌を締め固め、繁茂する植生を刈り取ることで、締め固めと植生の刈り払いが苗木の成長に与える影響を2年間にわたり検証しました。
その結果、土壌の締め固めにより植生繁茂が抑制され、締め固めも刈り払いもしていない苗木と比べて成長の低下が避けられることが分かりました。この結果は、林業機械による土壌の締め固めが、刈り払いと並んで新たな植生管理方法の1つとなる可能性を示しています。一方、締め固めの影響は地形や土壌水分等の条件によって変化する可能性があり、現場での応用可能性については今後の検証が必要です。
(本研究はNew Forestsにおいて、2024年7月に公開されました。)
図1:苗木周辺に繁茂した植生の地上部密度に対する土壌の締め固めの影響。
棒グラフは処理ごとの平均値、エラーバーは標準誤差(N=6)、棒色の違いは土壌の締め固めの有無を示す。
図2:土壌の締め固めと植生の刈り払いがトドマツ苗木の成長に及ぼす影響。
棒グラフは処理ごとの平均値、エラーバーは標準誤差(N=6)、棒色の違いは刈り払いの有無、異なるアルファベットは有意な差(p<0.05)を示す。
※ 図は、論文中の図を基に作成しました。
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