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渓流に生育している珪藻群集は森林タイプで異なる

掲載日:2024年12月3日

渓流には単細胞植物の珪藻(けいそう)が生育していますが、その個体数密度や群集構造が老齢広葉樹林流域と針葉樹人工林流域で異なっていることを、高知・四万十川源流域での調査で明らかにしました。森林タイプによる光や土壌アルカリ度などの環境条件の違いが、個体数密度や群集構造の違いに影響を与えていると考えられます。

森林に囲まれた渓流には様々な珪藻が生育していますが、森林のタイプによる珪藻群集の違いはあまりよく分かっていませんでした。そこで、日本の最も一般的な森林タイプである老齢広葉樹林の流域と針葉樹人工林の流域内の渓流に生育する珪藻類を比較しました。

老齢広葉樹林流域内の渓流の方が珪藻類の個体数密度は有意に多くなりましたが、種数・属数・科数には違いがみられませんでした。しかし、群集構造は老齢広葉樹林流域を流れる渓流と針葉樹人工林流域を流れる渓流で異なっていました。老齢広葉樹林流域ではクサビケイソウ属(Gomphonema)とフトスジツメワカレケイソウ属(Planothidium)が多い一方で、針葉樹人工林流域ではフネケイソウ属(Navicula)が多く生育していました(図)。

本研究は、Journal of Freshwater Ecologyにおいて2024年7月に公開されました。)

図1:クサビケイソウ属 図2:フトスジツメワカレケイソウ属 図3:フネケイソウ属
図:老齢広葉樹林流域あるいは針葉樹人工林流域に多く生育する渓流性珪藻

 

  • 論文名
    Comparison of freshwater diatom assemblage between old-growth broad-leaved and planted coniferous forest basins in temperate region, Japan(老齢広葉樹林と針葉樹人工林内の渓流に生育する珪藻の比較)
  • 著者名(所属)
    吉村 真由美(関西支所)
  • 掲載誌
    Journal of Freshwater Ecology、2024年7月 DOI:10.1080/02705060.2024.2382446(外部サイトへリンク)
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 佐藤 保
  • 研究担当者
    関西支所 吉村 真由美

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