研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 細菌2種の遺伝情報解読 ーマツノマダラカミキリを殺す線虫から分離
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掲載日:2024年12月9日
マツ材線虫病を媒介するマツノマダラカミキリの幼虫に高い殺虫能力を持つ昆虫病原性線虫*1) から共生細菌2種を新たに分離し、全遺伝情報を解読しました。線虫とのかかわりをはじめ、その殺虫能力や抗菌能力など共生細菌に関する遺伝情報が得られ、線虫や細菌を用いた樹木病虫害防除法の開発に貢献する成果です。
解読に成功したのは、昆虫病原性線虫ヘテロラブディティス・メジディス(図1上)から分離した共生細菌であるホトラブダス・テンペラータ(図1左下)とシュードモナス属の一種(図1右下)です。両者とも好気性の細菌で、培養が容易であり、前者は約4600個、後者は約6700個の遺伝子を持っていました。
*1) 昆虫病原性線虫:昆虫に寄生し、自身の持つ昆虫免疫抑制能力に加え、殺虫能力を持つ共生細菌を放出して昆虫を殺し、繁殖します。線形動物門に属し、体長は1ミリ未満です。一部の種は害虫防除剤として販売されています。
(本研究は、Microbiology Resource Announcements, American Society for Microbiologyにおいて2024年9月に公開されました。)
図1:昆虫病原性線虫のヘテロラブディティス・メジディス(上:小澤 壮太(東北支所)提供)、および、共生細菌のホトラブダス・テンペラータ(左下)とシュードモナス属の一種(右下)。
1μmは、1ミリメートルの千分の一。細菌は、染色しています。
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