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掲載日:2025年2月10日
本州日本海側の山岳に生育するミヤマナラは、亜高山帯の気候条件に関連してミズナラから遺伝的に分化していることが分かりました。その名のとおり深山(みやま)に生育し、形態的特徴からミズナラの変種とされてきたミヤマナラについて、日本産コナラ属における位置付けが遺伝的にも明らかになりました。
この研究では、青森県八甲田山や長野・富山県の白馬岳など8か所で共に分布するミズナラとミヤマナラの両集団に加え、これらの周辺でいずれか一方の種が分布する6カ所の集団を調査しました。DNAの遺伝的変異を調べた結果、ミズナラ13集団とミヤマナラ8集団が遺伝的にはっきりと別グループに分かれました。ミズナラと比べ、ミヤマナラ8集団の生育地は低温で多雪の気候条件であることから、ミヤマナラの遺伝的分化は亜高山帯の気候条件と関連することが示されました。
日本の冷温帯山地林の主要な落葉樹で林冠に達する高木のミズナラ。幹が根元で分岐し、幹や枝が地を這うような形態を示す低木のミヤマナラ。ミヤマナラの葉はミズナラよりもずっと小さく、裏面には毛が密生します。これらの特徴によって、低温で多雪の過酷な環境にも耐え得たのでしょう。
(本研究は、Plant Species Biologyにおいて2024年5月に公開されました。)
写真:日本海側の亜高山帯に分布するミヤマナラ
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