研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2025年紹介分 > フォワーダの運転手の負担は前進時よりも後進時に増大
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掲載日:2025年2月17日
フォワーダは伐採現場で丸太を積み込んで運ぶ積載型集材車両です。本研究において、フォワーダの運転手の負担は前進時より後進時の方が大きいことが心拍数測定で明らかになりました。フォワーダは機体自身の死角に加えて、荷台やグラップルクレーンにより後方視界が狭いため、運転手は後進時の方が、緊張して心拍数が上昇すると考えられます。これは、林業の作業環境を向上するための林内道路や機械構造の改良につながる発見です。
フォワーダは、幅3〜4メートルの狭く未舗装で起伏の大きい林内の道(森林作業道など)を走行するため慎重な運転が必要です。運転者の労働負担とフォワーダの動きとの関係を調べるため、慣性計測装置*) を用いて車体の傾きやスプロケット(キャタピラの歯車)の回転数を計測し、走行速度、旋回速度といった作業の状況を推定しました。また、同時に測定した運転手の心拍数と比較することで、負担が大きくなる要因を調べました。走行試験は森林作業道で行い、35~53歳の被験者5名(フォワーダの経験年数は1~13年)を対象に、1.8kmのコースを前進、後進の順に走行してもらいました。
その結果、後進時は前進時に比べて心拍数が高い傾向があることがわかりました(図1)。これは、後進時は死角が大きいため、より慎重に運転しなくてはならなかったためと考えられます(図2)。
*) 慣性計測装置:3次元の加速度と角速度を計測することで、物体の運動状態や姿勢を測定する装置。
(本研究は、Croatian Journal of Forest Engineeringにおいて2025年1月に公開されました。)
図1:被験者5名の前進/後進別の労働負担。
縦軸の%HRRは心拍数に基づく指標である。グレーが前進、濃いグレーが後進時の結果を示す。
図2:フォワーダ後進時の死角。
後進では、視界不良により低速になり、運転手の負担が大きくなった可能性。
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