研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2025年紹介分 > ヤチダモの道管を結ぶ通水孔を冬に塞ぐ物質の成分や発生過程を解明
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掲載日:2025年3月27日
北海道の代表的な落葉広葉樹であるヤチダモは落葉から新葉が開く直前まで、多糖類やフェノール類を含む物質で道管間の通水孔(壁孔)を塞いでいることが電子顕微鏡等による解析で分かりました。樹体内の水移動の仕組みを理解する糸口になる成果で、木材の性質を育成段階で制御する技術の開発につながることも期待されます。
研究グループは、北海道産のヤチダモ生立木2本から材部の試料を定期的に抜き取り、壁孔に生じた閉塞物の形態や成分、発生時期などを、電子顕微鏡をはじめとする様々な顕微鏡手法で解析しました。その結果、閉塞物は、落葉する前の10月に発生し、翌春の新葉が開く直前の4月に消失しました。成分は、キシログルカンやペクチンなどの多糖類をはじめ、フェノール類も検出されました。
壁孔に生じる閉塞物は水の移動を制御していると推測されますが、具体的な働きや発生機構については未解明な点が多くあります。今回得られた知見をもとに、さらに解析を続けていきます。
(本研究は、Annals of Botanyにおいて2024年7月に公開されました。)
図1:ヤチダモの木部の電子顕微鏡写真(森林総合研究所日本産木材データベースより)。
A:基本三断面、B:道管の縦断面
図2:ヤチダモの壁孔で堆積・消失する閉塞物。
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