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掲載日:2025年5月15日
ディスクチッパー*の加工条件を変えることで、生産される木材チップの大きさをコントロールする方法を開発しました。新しいチッパーの導入のような大規模な設備投資を行うことなく、既存のディスクチッパーの加工条件の調整のみで、用途に対応した大きさのチップを効率的に生産できる可能性があります。
製紙原料用チップ(写真)の生産に使われているディスクチッパーという機械は、近年では、ガス化熱電併給装置**の燃料用チップの生産にも使用されています。しかし、ガス化熱電併給装置用(CHP)のチップの大きさは製紙原料用のものとは異なる場合があり、大きさの異なるチップを使うことによりガス化CHPの運転に支障をきたす例が報告されています。そこで、加工条件を変えて生産したときのチップの大きさを測定し、加工条件とチップの大きさの関係を調べ、加工条件の調整によってチップの大きさをコントロールできないか検討しました。
その結果、ディスク回転数と生産されるチップの大きさ(粒子径***)を明らかにしました(図)。また一般には、同じ生産条件であっても生産されたチップの大きさにはバラツキがありますが、今回の研究の成果では、バラツキがある場合でも、チップの大きさを近似式で表せることも明らかにしました。
*)ディスクチッパー:丸太などの大きな木材からチップを生産する機械。刃物を取り付けた円盤状のディスクが高速回転しているところに木材を押し当てることで、細かいチップを削り取る。
**)ガス化熱電併給装置:チップを酸素の少ない状態で燃焼させ可燃性のガスを生成させ、そのガスを燃焼させることで電気と熱を生成・供給する装置。蒸気タービン方式に比べて、小型の発電設備でも高い発電効率を得ることができる。
***)粒子径:ふるい分けによって測定されたチップの大きさ。ふるい分けでは、まず穴の大きさの異なるふるいを穴の大きいものが上になるように順に重ねます。チップを一番上のふるいに入れた状態で振とうさせると、小さいチップほど下に落ちる。こうすることで、ふるいに残ったチップがふるいの穴よりも大きく、その上にのせたふるいの穴よりも小さいことがわかる。
(本研究は、Journal of Wood Scienceにおいて2025年1月に公開されました。)
写真:ディスクチッパーで生産されたチップ
図:ディスク回転数とチップの大きさの関係
ディスク回転数を大きくするに従い、生産される木材チップの粒子径が小さくなることを明らかにしました。
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