研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2025年紹介分 > 竹笹見本園を未来へつなぐ─開花した後の管理方法
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掲載日:2025年10月16日
種や系統によって異なるタケ・ササ類の開花や再生の様式を踏まえ、各様式に応じた開花後の管理の基本方針を検討し作成しました。これは全国各地の竹笹(たけささ)見本園(図1上)の維持整備やタケ・ササ資源の保全に向けた実践的ガイドとして役立つ成果です。
日本各地の植物園などの竹笹見本園は、多様なタケ・ササ類の種類や生態、竹文化を学ぶ場です。タケ・ササ類の中には、生涯に一度だけ花を咲かせて実を結び、その後枯死する一回繁殖性の生活史をもつ種類があります。こうした種では特に、一斉に開花した後、急速に衰退して姿を消してしまう例も観察されています(図1下)。また、複数の種が集まる竹笹見本園では、一部の稈(かん、樹木でいう主幹に相当)で開花する現象もしばしば観察されており、開花そのものは案外頻繁に見られます。しかし、開花後、種や系統ごとに適切に管理するための体系的な指針が整備されていませんでした。
本研究では2017年から7年にわたり、京都市内にある京都大学の附属の竹笹見本園2か所で、7属8種のタケ・ササ類の開花から再生に至る過程を観察・調査しました。例えば再生様式は、1)実生から、2)生き残った地下茎から出る矮小化した稈から、3)咲かなかった稈からの若芽(タケノコ)から(図2上)の3種類があることを明らかにしました。本論文では、開花や再生の様式に基づいてタケ・ササ類を5つのタイプに分け、それぞれに適した管理方法や留意点を整理し、検討しました(図2下に紹介したのは、その代表的な管理方法です)。
(本研究は、Bamboo Journalにおいて2025年6月に公開されました。)

図1. 外来種と在来種の温度指数、分布・個体数の変化率の比較

図2:開花後の再生様式の3タイプ(上)と、管理における基本的な留意点(下)。
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