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掲載日:2025年12月22日
北海道に自生する北方針葉樹3種(トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツ)の苗木を温暖な関東に移植したところ、トドマツは生存率、成長率ともに低下せず、温暖化の影響を受けにくいことが分かりました。地球温暖化が進めば、将来的に北海道ではトドマツがより多くなる森林構成の変化が生じる可能性が考えられます。
研究グループは2016年、北海道内陸部の富良野試験地に北方針葉樹3種の種子を播き、2年間苗畑で育苗した後に丁寧に掘り取り、樹種毎に苗木各48本を富良野(自生地)、秩父、千葉の試験地に植栽して生存率と植栽後3年目の相対成長率注1)を比較しました。その結果、トドマツは温暖地への移植となる秩父と千葉のいずれにおいても生存率と相対成長率の低下が見られませんでした。トドマツは光合成の至適温度が他の2種より高く、より乾燥に強いとされるため、環境変化の影響が小さかったと考えられます。
一方、千葉のエゾマツ、アカエゾマツは相対成長率の低下が見られませんでしたが、秩父では低下していました。秩父では内陸特有の高温と乾燥によって気孔が閉じ光合成が低下した一方で、海洋性の湿潤な千葉では気孔開度が維持され、成長低下が抑えられたと考えられました。温暖化が進行した将来において、乾燥化の影響を受けにくい沿岸地域が北方針葉樹の避難地(レフュージア)として機能しうることが示唆されます。
注1)相対成長率
植物の成長速度を単位重量あたりで比較するための指標で、時間とともにどれだけバイオマス(乾燥重量)を増やしているかを表します。

(本研究は、Canadian Journal of Forest Researchにおいて2025年4月に公開されました。)

図1:移植実験の概念図

図2:移植後3年目の各樹種の相対成長率。バーの上の異なるアルファベット間には有意な差があります。
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