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きのこのツチグリと共生したアカマツ苗、セシウム吸収増

掲載日:2025年12月22日

ツチグリという菌根菌*と共生したアカマツ苗は、セシウム吸収が増加することが分かりました。福島第一原子力発電所事故から14年経過した現在でも、きのこや、きのこ原木となる広葉樹は放射性セシウムを吸収していますが、そのような放射性セシウムの動きの解明につながる発見です。

チョルノービリ原子力発電所事故や福島第一原子力発電所事故後、菌根菌のきのこは放射性セシウムを多量に吸収することが明らかになりました。一方で、菌根菌と共生する樹木におけるセシウム吸収の変化はよく分かっていませんでした。研究グループは、温室内でツチグリという菌根菌を共生させたアカマツ苗と、共生させないアカマツ苗を、セシウムを添加した土で育てて、セシウム吸収を比較しました。

調査の結果、ツチグリ菌と共生した樹木は、セシウム吸収が増加することが分かりました。セシウムは生物に必要な栄養ではないのですが、生物に必要なカリウムという元素に化学的性質が似ていて、同じアルカリ金属元素であるため、吸収されているという報告がありました。そのため、研究グループはカリウムの吸収も調査したところ、ツチグリ菌と共生した樹木は、カリウム吸収も増加することが分かりました。

)菌根菌 植物の根の表面あるいは内部に菌類が共生して一体となった状態を「菌根」と呼び、菌根を形成する菌類のことを「菌根菌」と呼ぶ。

(本研究は、Journal of Environmental Radioactivityにおいて2025年5月に公開されました。)

きのこのツチグリの写真
写真:ツチグリ(初夏から秋にかけて、林道や土の崖となっているような場所に、普通に見られるきのこである)

図:ツチグリ菌の共生とアカマツ苗1本あたりのセシウム吸収量を表したグラフ
図:セシウム添加12箇月後のアカマツ苗のセシウム吸収量

  • 論文名
    Symbiosis with Astraeus hygrometricus upregulates cesium and potassium uptake by Pinus densiflora seedlings.(ツチグリ菌との共生はアカマツ苗のセシウム及びカリウム吸収を増加させる)
  • 著者名(所属)
    小河澄香(きのこ・森林微生物研究領域)、赤間慶子(きのこ・森林微生物研究領域)、中村慎崇(関西支所)、眞中卓也(立地環境研究領域)、山中高史(東北支所)
  • 掲載誌
    Journal of Environmental Radioactivity, 287, 107722, May 2025,
    DOI:10.1016/j.jenvrad.2025.107722(外部サイトへリンク) 別ウィンドウで外部サイトへリンク
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 前原 紀敏
  • 研究担当者
    きのこ・森林微生物研究領域 小河 澄香

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