研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2025年紹介分 > 帯状伐採施業地は皆伐施業地と比べてオサムシ科甲虫の多様性が高い
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掲載日:2025年12月25日
帯状伐採*)の生物多様性保全機能を評価するため、帯状伐採施業地と皆伐施業地の間でオサムシ科甲虫**)の多様性を比較したところ、帯状伐採施業地の方が多様性が高いことを初めて示しました。
帯状伐採は、従来の皆伐に比べ、生物多様性や水土の保全等の公益的機能の高い伐採法として、国有林等の伐採に広く用いられています。しかし、多様性保全機能を立証するデータはわずかしかありません。
帯状伐採による昆虫類の多様性保全機能を評価するため、熊本県菊池市の国有林のうち帯状伐採と皆伐が同時に行われた直後の60〜70年生スギ・ヒノキ人工林において、オサムシ科甲虫を捕獲しました。林縁が含まれるように20m間隔で直線上にピットフォール(落とし穴)トラップを設置してオサムシ科甲虫を捕獲し、伐採の影響を評価しました。
その結果、同じ伐採地内でも、帯状伐採地には皆伐地よりも多様な非森林性の種が入り込み、その個体数も多いことがわかりました。帯状伐採地に挟まれた保残帯には森林(広い非伐採林)と同じオサムシ科甲虫群集が維持されていました。帯状伐採施業では伐採面の長辺が繰り返し現れるため、林縁が長くなります。この林縁部では、森林性と非森林性の両方の種がみられ、多様性が高いことがわかりました。これらのことから、帯状伐採はオサムシ科甲虫の多様性を高める伐採法であることが示されました。
*)保残帯を挟んで樹高の2倍(約40m)以下の幅の伐採を繰り返す樹木の収穫方法。国有林ではこの方法が積極的に導入されている。
**)地表徘徊性の捕食者が多い甲虫のグループで、その群集が森林環境の変化に明確に反応することから、環境指標生物として多用されている。
(本研究は、Entomological Scienceにおいて2025年10月に公開されました。)

写真1:帯状伐採と皆伐が同時に行われた熊本市菊池市のスギ・ヒノキ人工林

写真2:森林性種のなかでもっとも多かったクロツヤヒラタゴミムシ
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