研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2026年紹介分 > ツシマヤマネコ再確認の下島、シカ影響の低い地域に集中
ここから本文です。
掲載日:2026年2月17日
長崎県・対馬の下島で近年、生息が再確認されている絶滅危惧種ツシマヤマネコが、ニホンジカ(以下、シカ)の影響が比較的少ない地域に集中していることが分かりました。全島で約100頭しか残っていないツシマヤマネコをはじめ、対馬の生態系を守るためには、シカの捕獲や防護柵の設置など総合的な対策が急務となっています。
研究グループは2022〜23年に対馬全島でシカの痕跡を調査し、人工林への影響を簡易に評価できる指標「シカ影響スコア(DISco)」*)を用いて、ツシマヤマネコの生息状況との関連を解析しました。その結果、下島では繁殖は確認されていないものの、DISco が低い地域で、雌の生息が確認されました。一方、上島では各地で繁殖が確認されているものの、島全体の DISco が極めて高く、シカの影響とツシマヤマネコの分布との関係は明瞭ではありませんでした。
対馬のシカは過去の狩猟制限により急増し、森林の下層植生が大きく衰退しています。その結果、ツシマヤマネコの主要な餌であるネズミ類なども減少しています。こうした生息環境の悪化に加えて遺伝的多様性の低下も進んでおり、ツシマヤマネコの絶滅の危機はいっそう深刻化しています。
*)シカ影響スコア(DISco)
針葉樹人工林におけるシカの影響度を示す指標で、5種類のシカの痕跡(シカ糞、剥皮痕、採食痕、シカ道、足跡)の有無や多寡を簡易に確認することで算出できます。
(本研究は、Journal for Nature Conservationにおいて2026年1月に公開されました。)

写真1. DIScoが高くシカ食害によって下層植生が衰退した人工林

図1. 対馬におけるDIScoとツシマヤマネコの分布
お問い合わせ
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.