研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2026年紹介分 > 森林総研樹木園内のソメイヨシノの腐朽診断を実施、12本中6本に異常が見つかる

更新日:2026年2月24日

ここから本文です。

森林総研樹木園内のソメイヨシノの腐朽診断を実施、12本中6本に異常が見つかる

掲載日:2026年2月24日

2025年4月15日に森林総合研究所の第二樹木園(茨城県つくば市)でソメイヨシノの倒木が発生し、その原因を調査したところ、倒れた樹木個体は根の衰弱による根返り*)を起こしていました。さらに、倒れた個体の周りに残っている12本のソメイヨシノのうち6本は、地上部の外観診断および機器を用いた腐朽**)診断の両方で異常が認められ、今後倒れる恐れがあることが分かりました。一方で、本研究で実施した診断方法では根の状態を診断することは難しく、倒木リスクの評価の難しさが改めて示されました。この診断結果を受けて、森林総合研究所では、園内の倒れる危険のあるソメイヨシノを伐採し、その跡地には新たなサクラを植栽することで桜並木の更新を進める予定です。

第二樹木園は、1978年に森林総合研究所の前身である林業試験場の本場が、東京都目黒区から茨城県稲敷郡茎崎村 (当時) へ移転した時期に整備されました。ソメイヨシノも同時期に植栽されたと考えられ、老齢化により衰退している可能性が考えられました。本研究では、外観診断で異常(腐朽菌の子実体***)の発生、樹洞、枯れ枝)がないかを調べました(写真1)。さらに、機器を使用して樹木内部の腐朽空洞率****)を調べました。

その結果、12本中6本は腐朽空洞率が20%以上と診断されました。さらにその中の2本は60%と診断されました(図2)。これらの6本は樹幹に溝や傷、樹洞、腐朽菌の子実体の発生が認められました。

 

*) 根返り 樹木の幹部が折れずに地下の根系部が土壌から引き抜かれるように倒れること。

**腐朽 ここでは樹木の木部組織を構成するセルロースやリグニンが菌類によって分解されて著しく木材の強度が下がることを指します。

***子実体 菌類が胞子形成のために作る器官のこと。大型の菌類の場合はきのこともいいます。

****腐朽空洞率 木の幹の断面に対する空洞の割合を示す数値。街路樹診断では、50%を超すと危険木と判断されることが多いです。

 

(本研究は、森林総合研究所研究報告において2025年12月に公開されました。)

ソメイヨシノの幹から出ている太い枝の付け根に大きな穴が空いている
写真1 ソメイヨシノの外観異常。この個体は、太枝の付け根に大きな穴(樹洞)が空いていました。

 

診断機器により幹の中心の空洞部分が水色に色分けされている
図2 写真1の樹木個体の腐朽診断機器による診断結果。腐朽空洞率は60%と診断されました。黄色、赤色、青色、水色の部分は機器により異常と判断された部分です。特に水色の部分は空洞になっている可能性が高いと考えられます。

 

  • 論文名
    森林総合研究所 第二樹木園に植栽されたソメイヨシノの腐朽診断
  • 著者名(所属)
    服部友香子、升屋勇人、服部力、髙橋由紀子、秋庭満輝(きのこ・森林微生物研究領域)
  • 掲載誌
    森林総合研究所研究報告, 24巻4号, 森林総合研究所, p.275-279, 2025年12月
    DOI: 10.20756/ffpri.24.4_275(外部サイトへリンク) 外部サイトへリンク
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 前原 紀敏
  • 研究担当者
    きのこ・森林微生物研究領域 服部 友香子

お問い合わせ

所属課室:企画部広報普及科相談窓口

〒305-8687 茨城県つくば市松の里1

Email:qanda@ffpri.go.jp