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クビアカツヤカミキリ誘って殺すボトル型毒餌剤開発、ネット内設置

掲載日:2026年3月2日

街路樹や果樹に枯死被害をもたらす外来種クビアカツヤカミキリの成虫を誘引して殺虫する毒餌剤をカミキリムシ類としては世界で初めて開発しました。寄生木に巻いたネット内に設置するだけで殺虫可能で、日々の見回りや捕殺など防除作業の省力化につながる新たな技術として期待されます。実用化に向けてはさらなる薬剤成分の探索や装置の改良が課題です。

研究グループは、アリやゴキブリに使われる毒餌技術から着想し開発に着手。クビアカツヤカミキリに対する効果試験で、農作物に広く使われている殺虫剤アセタミプリドを殺虫成分に、糖酢液(人工樹液)を誘引成分にそれぞれ選びました。これらを用いたボトル型液体毒餌剤を試作してサクラの被害木に2本設置したところ(図1)、大型ボトル(薬液250mL入り)での駆除率は53%に上りました(図2)。

クビアカツヤカミキリはサクラやウメ、モモなどのバラ科樹木に寄生して枯死させる大陸アジア原産の外来昆虫。特定外来生物に指定され防除が進められていますが、2026年1月現在、16都府県で発生が確認されています。多くの自治体では、被害木にネットを巻き、成虫を閉じ込めて拡散防止を図っています。ただ、ネット内での交尾・産卵やネット外への逃亡を防ぐためには日々の見回りと捕殺作業が必要で、防除現場の大きな負担になっています。

本研究は、環境省・(独)環境再生保全機構 「環境研究総合推進費」(JPMEERF20224R02)(特定外来生物クビアカツヤカミキリの新たな定着地の早期発見・早期駆除システムの開発)の支援を受けて実施されました。

(本研究は、Pest Management Scienceにおいて2026年2月に公開されました。)

3枚の画像。左から、サクラの根本から幹の部分、幹に巻き付けた毒餌剤のアップ、幹とネットに挟まったクビアカツカヤカミキリのアップ。
図1 クビアカツヤカミキリ被害木へのネット巻きの様子と今回開発した毒餌剤。左)サクラの木へのネット巻きと毒餌剤の設置(矢印)。中央)毒餌剤。右)ネットに閉じ込められたクビアカツヤカミキリ成虫。

 

毒餌剤80mlの駆除率は22%に対し、毒餌剤250mlの駆除率は53%である表
図2 ネット巻きしたサクラの木に毒餌剤を設置した実地試験におけるクビアカツヤカミキリ駆除率。毒餌剤は小型、大型の2タイプを試験しました(カッコ内は薬液量を示します)。駆除率はネット内で見つかった個体のうち死亡または瀕死状態だったものの割合で、瀕死のものは翌日までには死亡しました。

 

  • 論文名
    Development of an insecticidal bait for combined use with netting to control the invasive red-necked longhorn beetle, Aromia bungii, emerging from tree trunks(樹幹から羽化脱出してきた侵略的外来種クビアカツヤカミキリをネット巻きとの併用により駆除するベイト剤の開発)
  • 著者名(所属)
    田村繁明(森林昆虫研究領域)、弘岡拓人(和歌山県果樹試験場かき・もも研究所)、山本優一(大阪府立環境農林水産総合研究所)、城塚可奈子(大阪府立環境農林水産総合研究所)、向井裕美(関西支所)、所雅彦(元・森林昆虫研究領域)、小西堯生(森林昆虫研究領域)、上森教慈(森林昆虫研究領域)、滝久智(生物多様性・気候変動研究拠点)、松本剛史(研究情報科)、加賀谷悦子(森林昆虫研究領域)、砂村栄力(森林昆虫研究領域)
  • 掲載誌
    Pest Management Science, 82, 2157-2771, 2026年2月
    DOI:10.1002/ps.70383(外部サイトへリンク) 外部サイトへリンク
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 前原 紀敏
  • 研究担当者
    森林昆虫研究領域 砂村 栄力

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