研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2026年紹介分 > 公開情報で森林空間の美しさを予測するモデル開発-景観に配慮した施業を支援する
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掲載日:2026年3月26日
自治体がオープンデータとして保有・公開している森林資源情報と地理情報システム(GIS)を用いて、森に囲まれた景観(囲繞景観*)の美しさ(審美性)を20m四方ごとに予測・地図化できるモデルを開発しました。森林浴や歩道整備、観光資源化などで重視される囲繞景観を広範囲に評価でき、森林施業と景観とを両立させる広域計画の作成につながる画期的な成果です。
研究グループは、各種の森林資源情報を活用し、既往の評価予測モデルを改良し、1)航空レーザー測量(LiDAR*)などによる推定樹高に基づく林齢、2)森林の混み具合(収量比数*)、3)視認できる半径50m内で同じ林相の面積を加味して再設計しました。
改良モデルを森林率が高く林業が盛んな高知県いの町の民有林を対象として適用し、その予測結果の妥当性を検証したところ、24地点それぞれで撮影された画像に対する人の評価との間に、既往モデルより大幅に高い相関関係が確認されました。
今回のモデルが実用化されれば、景観価値の高い区画の抽出、歩道・ビューポイントの配置検討、間伐強度や施業優先順位の設定などを、地理情報システム(GIS)上で精細に検討できるようになり、限られた予算・人員の下で、景観と施業を両立させる広域計画の合理化に貢献します。
この研究は森林総合研究所運営費交付金プロジェクト「林業収益と公益的機能のトレードオフ関係の全国解析―環境配慮型集約化の提案―」の一部として実施しました。
*:囲繞(にょう)景観:周囲を森林に囲まれた状態の景観
*:LiDAR:航空レーザー測量などで樹高等を推定する計測技術
*:収量比数(Ry):森林の混み具合を表し、間伐など施業判断にも使われる指標
(本研究は、日本森林学会誌において2026年1月に公開されました。)

写真 囲繞景観の例(左:針葉樹林(高知県いの町)、右:広葉樹林(長野県軽井沢町))
森林浴やキャンプ、森林スポーツなどで利用者が森林内の空間を過ごす際、囲繞景観の審美性は重要な景観要素となります。これまで森林空間の利用を前提に森林管理を行うには、囲繞景観のポテンシャルを広域的に把握できる技術が必要とされていました(写真撮影:高山範理)。

図:森林資源情報による囲繞景観の評価・予測モデルの概要。高知県いの町を対象に、森林資源情報とLiDAR等を用いて囲繞景観の評価ポテンシャルを20mメッシュで推定・可視化する改良モデルを作成し、予測値と人間による評価との高い相関を確認しました。
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