研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2026年紹介分 > 農山村景観の景観美を環境情報から予測分析、近景の扱いで美しさアップ
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掲載日:2026年3月26日
農山村域の観光やレクリエーションの質を高めるうえで、域内の景観の見せ方は重要です。農山村景観の美しさは、それを眺める場所(視点場)の近景や遠景などに含まれる要素(視界の広さや人工物など)によって左右されることが分かりました。間伐による見通し確保や、植栽による人工物の影響低減など、限られた森林管理でも景観美と両立した林業が可能になることを示唆する成果です。
地域景観の「美しさ」は、見る人の近く(近景)だけでなく、中景・遠景の見え方にも左右されます(図1)。研究チームは、森林率約90%の高知県いの町で沿道約1.5万地点を選び出し、それぞれの景観を近景(400m未満)、「中景」(400m〜2.5km)、遠景(2.5〜5km)の距離帯に分解し、景観の美醜に影響する要素を距離帯ごとに解析しました。
その結果、近景に広い視界や森林・草地があると景観の美しさは上がり、人工地や建物があると下がる傾向がありました。また、中景には大きな視域(見える範囲)が、遠景には森の広がりやまだら状の多様な要素がそれぞれあると、景観美の向上に効いていました(図2)。さらに、景観分析から4パタンに分類し、各タイプにおける景観要素の影響度を分析すると、景観の美しさは開けた自然景観で高く、都市的景観で低い傾向でした。
この研究は森林総合研究所運営費交付金プロジェクト「林業収益と公益的機能のトレードオフ関係の全国解析―環境配慮型集約化の提案―」の一部として実施しました。
(本研究は、ISPRS International Journal of Geo-Informationにおいて2026年2月に公開されました。)

図1:近景・中景・遠景の距離帯を示した模式図(論文図4を基に作成)。距離帯によって視認可能な要素が異なるため、域内景観の審美性を向上させるには、それぞれに合った演出が必要となることが分かります。

図2:景観パタン(4パタン)の代表的な眺望例(論文図6を基に一部改変して作成)。類似している景観を4パタンに分けて分析したところ、同じ景観要素でもパタンの違いで影響が大きく変化することも分かりました。その結果を整理することで、景観パタンに応じた距離帯毎の管理に役立つフレームワークと具体的な地域デザインの提案を導くことが可能になります。
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