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場所によって違う森林内のセシウム移動量、地点間でばらつき最大10倍

掲載日:2026年3月30日

福島県内の森林6地点で放射性セシウム(セシウム137)の樹木から土壌への移動量を調べて解析したところ、スギ林では場所毎に最大約10倍のばらつきがあることが分かりました。伐採時期の幹材のセシウム137濃度を予測する際の、その誤差の評価につながる知見です。

2011年3月の原発事故で森林を汚染したセシウム137は、半減期が約30年であり、現在でも落葉や落枝を通じて樹木から土壌へと排出されています。原発事故から10年以上が経った現在、スギ林やコナラなどの落葉広葉樹林を対象とした落葉落枝の観測は、それぞれ1~2箇所に限られており、場所の違いによってセシウム137の移動量がどの程度変わるのかは分かっていませんでした。

そこで研究グループは、2022年12月から2年間、福島第一原子力発電所から40 km圏内のスギ林とコナラなどを含む落葉広葉樹林の各3地点で、落葉落枝を採取(写真1、2)し、セシウム137の移動量を調べ、ほか3地点の既存データと合わせて解析しました。その結果、落葉広葉樹林は地点間で最大約2倍の違いであったのに対し、スギ林では約10倍も違う場合がありました。この研究成果は、それぞれの樹種において、伐採時の幹材のセシウム137濃度の予測にどの程度のばらつきがあるかを理解することに役立ちます。

(本研究は、Journal of Environmental Radioactivityにおいて2026年1月に公開されました。)

急勾配のスギ林にロート上の採集用網が設定されている写真
写真1:落葉と落枝を採取したスギ林

急勾配の落葉広葉樹林にロート上の採集用網が設定されている写真
図2. 落葉と落枝を採取した落葉広葉樹林
 

  • 論文名
    Inter-site comparison of radiocesium flux via litterfall more than a decade after the Fukushima nuclear accident
    (福島原発事故から10年以上経過後の落葉・落枝による放射性セシウム移行量の地点間比較
  • 著者名(所属)
    坂下渉(震災復興・放射性物質研究拠点)、三浦覚 (震災復興・放射性物質研究拠点)、篠宮佳樹(震災復興・放射性物質研究拠点)
  • 掲載誌
    Journal of Environmental Radioactivity 292, 107880, January 2026
    DOI:10.1016/j.jenvrad.2025.107880 (外部サイトへリンク)外部サイトへリンク
 
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 浅野 志穂
  • 研究担当者
    震災復興・放射性物質研究拠点 坂下 渉

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