研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2026年紹介分 > 秋の紅葉は、落葉させる「離層」が発達する前から始まっている
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掲載日:2026年4月13日
秋の鮮やかな紅葉をもたらす赤い色素であるアントシアニンの合成は、葉を枝から切り離す組織である「離層*1」の発達前から始まっていることがハウチワカエデの調査からわかりました。また、葉が落ちる直前まで葉柄の師管*2は機能していることも判明しました。
研究グループは2020年に札幌市内のハウチワカエデの成木を使って、葉の栄養分(窒素・糖・デンプン)やアントシアニンの量と、葉柄の離層の組織との関係を、夏の終わりから落葉する間である8月末から11月初旬まで調べました。その結果、離層の細胞が崩壊し始めた10月上旬より前にアントシアニンの合成や糖の増加が始まっていました。一方で、葉内の窒素は離層発達後も減少し続けており、落葉直前まで師管が機能して窒素が樹体に回収されていることを示しました。
これまでは「秋になって離層が作られることで師管が壊れ、行き場がなくなった糖によってアントシアニンが合成されて紅葉する」という俗説が信じられていましたが、実際は離層の発達と紅葉とはそれぞれ別のメカニズムで制御されているといえます。
*1 離層:葉柄と枝との間にある細胞の薄い層で、ここの細胞が変質し壊れることで、葉が自然に落ちる
*2 師管:葉で作られた養分を枝や幹へ運ぶための管
(本研究は、Trees Structure and Functionにおいて2026年3月に公開されました。)

写真:10月初めのハウチワカエデの葉柄の顕微鏡画像。細胞が崩壊し始めているのがわかる(矢印)。点線は葉柄が切り離される位置
論文名
Timings of leaf abscission, nitrogen resorption, and autumn coloration across contrasting canopy positions in Acer japonicum
(ハウチワカエデの落葉のタイミングと窒素回収および秋の紅葉の、樹冠内比較)
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