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特定外来生物クビアカツヤカミキリ、同種が産み付けた卵がある場所に産卵する傾向

掲載日:2026年4月24日

バラ科の街路樹や果樹に食害をもたらす外来種クビアカツヤカミキリ(図a)は、一般的なカミキリムシとは異なり、同種他個体が産み付けた卵がある場所に産卵する傾向があることが分かりました。この仕組みが解明されれば、クビアカツヤカミキリの産卵を人為的に制御できる可能性があり、新たな防除手法の開発につながる成果です。

昆虫にとって、親による産卵場所の選択は子の生存および成長の鍵となります。このとき、一部の昆虫では雌が同種の別個体の行動を参照して意思決定を行うことが知られており、産卵場所の分散や集中がみられます。昆虫の産卵に関わる個体間の相互作用を解明することは、生態学的に重要であるだけでなく、新規の害虫防除手法の開発にもつながる可能性があります。

研究グループはクビアカツヤカミキリの雌成虫に対し、他個体が産み付けた卵(図b)があるサクラの枝とない枝を与え、どちらに多く産卵するか検証しました。その結果、11個体のうち10個体がすでに卵がある枝により多く産卵し、他個体が産卵した場所を選択する傾向があることが分かりました(図c)。一般的に、カミキリムシは同種の痕跡を避けて産卵すると考えられてきました。本研究は、従来知られていなかった新たな産卵戦略を示した重要な報告です。

本研究は、生研支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業」(04015C1)(相次いで侵入した外来カミキリムシから日本の果樹と樹木を守る総合対策手法の確立)の支援を受けて実施されました。

(本研究は、Applied Entomology and Zoologyにおいて2026年2月に公開されました。)

左上図は雌のクビアカツヤカミキリが木に登っている姿、左下図は木に産み付けられた薄黄色した卵の様子、右図は試験結果のグラフ

写真:(a) クビアカツヤカミキリの雌成虫。(b) 主要食害樹種であるサクラ(ソメイヨシノ)に産み付けられたクビアカツヤカミキリの卵。

図:(c) クビアカツヤカミキリの雌成虫11個体に対し、他個体が産み付けた卵がある枝とない枝を与え、どちらに多く産卵するか試験した結果。棒グラフは追加された産卵数の平均値および標準誤差を表す。黒丸プロットは実験に用いた各個体を表し、同一個体のデータは実線で結ばれている。アスタリスク(***)は2つの処理区間で統計学的に有意な差があったことを示す。

論文名
The attraction to conspecific cues during oviposition site selection in the red-necked longhorn beetle Aromia bungii (Coleoptera: Cerambycidae).(クビアカツヤカミキリ(コウチュウ目:カミキリムシ科)の産卵場所選択における同種の痕跡への誘引)

 
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 前原 紀敏
  • 研究担当者
    森林昆虫研究領域 小西 堯生、加賀谷 悦子

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