研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2026年紹介分 > 温暖地のヒノキ天然林ではカメムシによる種子の吸汁被害が多い
更新日:2026年8月31日
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掲載日:2026年8月31日
温暖な高知県内のヒノキ天然林では、カメムシ類による種子の吸汁被害のため、健全なヒノキ種子が少なくなっていることが、長期にわたる調査からわかりました。全国的に少なくなっているヒノキ天然林ですが、温暖な地域ではさらに減少が進むおそれがあることを示しており、気候変動下での保全策づくりに役立つ成果です。
チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシなどのカメムシ類や種子寄生蜂*)は、樹上でヒノキなどの針葉樹の種子を加害する昆虫です。これらがヒノキの採種園(林業用の種子を生産する樹木園)に被害をもたらすことは既に知られていましたが、天然林での影響は分かっていませんでした。研究グループは、2014年から2019年にかけて、高知県四万十町のヒノキ天然林で、年ごとの種子の数や、カメムシ類と種子寄生蜂による被害状況を調べ、冷涼な長野県王滝村のデータと比較しました。
その結果、高知では健全なヒノキ種子の割合は最大の年で28%、最小の年ではわずか2%にとどまり、長野の最大56%、最小14%に比べて低いことがわかりました。高知での種子寄生蜂による被害種子の割合が最大25%であったのに対し、カメムシによる吸汁を受けた種子の割合は多い年には70%に及び、健全な種子の割合が低下する主な原因とみられることが明らかになりました。
*)種子寄生蜂:植物の種子に卵を産みつけ、幼虫が種子の内部を食べるハチ類

写真1:吸汁中のチャバネアオカメムシ成虫(飼育下の個体)。カメムシ類はヒノキの実(球果)に針状の口を突き刺して、中の種子を吸汁する。

写真2:ヒノキの種子に残ったカメムシ類による吸汁痕(矢印部分)。識別しやすいよう、赤紫色の試薬を使って染色してある。
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