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掲載日:2026年9月4日
世界的に懸念されている食料不安について、自然保護区内外のコミュニティにおける実態を明らかにするため、カンボジア北東部の世帯を対象にアンケート調査*)を実施しました。その結果、食料不安を抱えていない世帯は全体のわずか11.4%にとどまりました。自然保護区内では約94%、自然保護区外でも約83%の世帯が食料不安を抱えており、自然保護区内の住民でより深刻な食料不安が確認されました。
その背景として、自然保護区内では資源利用や農地利用に一定の制約があることや、市場へのアクセスが限られることなど、生活条件の違いが影響している可能性があります。さらに、低所得、先住民であること、低教育水準、そして山菜や木の実などの野生食用植物由来の食料資源の採集が、食料不安の高さと強く結びついている特徴として確認されました。
とくにこうした食料資源は、自然保護区内では98.5%、自然保護区外でも87.3%の世帯が採集しており、多くの世帯にとって身近な食料となっています。一般に、こうした食料資源の採集は、健康的で多様な食生活につながると捉えられがちですが、本研究の結果は、それがむしろ食料不安に直面した世帯が状況を乗り切るための対処行動(コーピング戦略)として機能している可能性を示しています。本研究は、SDGs目標2「飢餓をゼロに」の達成に向けて、特定集団への対策の重要性を示しています。
*)本研究は、カンボジア北東部の自然保護区(国立公園及び野生生物保護区)内外に位置する20村1342世帯を対象に世帯アンケート調査を実施し、HFIAS(家庭の食料アクセス不安尺度)を用いて食料不安の状況を評価しました。HFIASは、過去30日間に食料が不足した経験(例:食料が足りない不安、食事回数の減少、空腹で就寝するなど)を9項目の質問で把握し、その頻度から食料不安の程度を4段階(食料安全~深刻な食料不安)で分類する国際的な指標です。本調査は2024年に実施され、各村の全世帯数をもとに統計的に必要なサンプル数を設定して実施されました。

図1:カンボジア北東部における調査地の位置および調査対象村の分布(作成:著者ら)

写真:カンボジア北東部で食料や収入源として利用されるMalva nuts(野生食用植物資源)。山菜や木の実などの野生食用植物の採集は健康的で多様な食生活に寄与すると捉えられがちであるが、本研究ではむしろ食料不安の高い世帯における生活を支えるための対処行動(コーピング戦略)として機能している可能性が示された。(写真:Naven Hon)
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