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北陸のツキノワグマがもつハブ機能、初の広域遺伝解析で判明

掲載日:2026年10月28日

北陸地域に分布するツキノワグマの個体群は本州各地のそれと遺伝的な共通性を持っていることが全国83個体による初の広域ゲノム解析で分かりました。北陸個体群は本州各地の個体群をつなぐ「ハブ」(中心)としての役割を担っていた可能性があり、ツキノワグマに対する地域ごとの管理計画策定に役立つ知見です。

研究グループは、全国から収集した83個体のサンプルについて遺伝子を解析しました。その結果、北陸個体群は遺伝的多様性が高く、紀伊半島・北近畿東部・南アルプス個体群と共通性を持っていました。分布域が近年拡大している紀伊半島個体群は長らく孤立していますが、かつては北陸個体群と遺伝的な交流があったと考えられます(図1)。

本州のツキノワグマは過去3回の大規模な個体数減少を経験していたことも今回の解析で判明しました。1)同種の大陸から日本への渡来(80万~30万年前)、2)最終氷期に向かう寒冷化における生息地の縮小(15万~7万年前)、3)人類の拡大・定着による生息地の圧迫や捕獲(5万~1.8万年前)などが個体数減少の要因と考えられます(図2)。

 

縦軸は推定祖先寄与率、横軸は地域を表した棒グラフ

図1:個体ごとの遺伝的な地域性の割合。1本の縦棒が1個体を示し、その個体の遺伝的な地域性の割合を示しています。北陸個体群の5個体のうち3個体では、紀伊半島・北近畿東部・南アルプス個体群の遺伝的な要素が認められ、本州各地の個体群との遺伝的なつながりが示唆されています。

 

縦軸が有効集団サイズ、横軸は時間軸を表したグラフ図

図2:地域個体群ごとの個体数の指標となる有効集団サイズの変化。地域ごとのばらつきはあるものの、灰色の網掛けをした時期に概ね3回の個体数減少があったことが示されています。

 

  • 論文名
    Decrease in Effective Population Size After the Immigration of Asian Black Bears to Japan(ツキノワグマの日本渡来後の有効個体群サイズの減少)
  • 著者名(所属)
    大西尚樹(東北支所)、Valentin Guskov(ロシア科学アカデミー 極東支部 東アジア陸上生物多様性連邦科学センター)、加藤珠理(多摩森林科学園)、小井土凜々子(筑波大学)、内山憲太郎(樹木分子遺伝研究領域)、津田吉晃(筑波大学)
  • 掲載誌
    Ecological Research、Volume41-1、日本生態学会、January 2026
    オンライン公開日:2026年1月8日
    DOI:10.1111/1440-1703.70029(外部サイトへリンク)別ウィンドウで外部サイトへリンク
  • 研究費
    環境省・(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(JPMEERF20254002)、日本学術振興会 科学研究費助成事業(22H02370、25K02037)
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 前原 紀敏
  • 研究担当者
    東北支所 大西 尚樹

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