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南浅川から多摩森林科学園の山をよく見ると、左写真の中央のように、魚の骨のような樹形の木に赤い実がたくさんついているようすが見られます。イイギリの木です。これを見てどんなことを考えられますか?
★となりによく似た形の木があるのに、ぜんぜん実がついていない!→→イイギリにはオスの木とメスの木があります。実がついていないのはオスの木です。
★なぜ真冬にたくさん実がついているのか?→→イイギリは11月ごろ実が熟します(右写真)。しかし、イイギリの実は鳥に好まれないようで、いつまでも食べられずに残るからです。
★では、なぜイイギリの実は、鳥に好まれないのか?→→イイギリの実を割ってみると、暑さ1ミリにも満たない“薄皮”の中に、ゴマ粒より小さい種子が、50-70個前後も入っています。これでは、食べてもほとんど腹の足しにはなりません。
★では、イイギリはどうやって種子を運んでもらうのか?→→12月から1月になると、山では食べられるものが少なくなります。食べるものがない時期に、葉を落とした木にたわわになるイイギリの実はとても目立ちます(右写真のまだ葉がついている時の状態より左写真の方が、遠くから見えてはるかに目立ちます)。空腹の極限に達した鳥たちが、とりあえず食いつくのかもしれません。
冬の樹木観察(ツリーウオッチング)も楽しいものです。(S)
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