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森の科学館から近い第2樹木園入口のすぐ右手にハナノキが3本並んでいます。
向かって左の1本が雌木、右の2本が雄木です。いま雌木の種子が成熟しつつあるところです(写真1,2)。花は展葉に先立って3月下旬から4月初旬にかけて咲き、やや白い木肌に赤い花が目立ちます(写真3、撮影3月末)。雄花も雌花も濃い赤色ですが、雄花では葯の付いた雄しべが見られ(写真4)、雌花では先が2本に割れた花柱(雌しべ)が見られます(写真5)。
カエデ属の樹種では、ふつう花が春に咲いた後に種子はゆっくり成熟して秋に散布されるのですが、ハナノキでは約1ヶ月半で早々と成熟して5月下旬頃にはもう散布されてしまいます。散布時には休眠状態にあり翌春に発芽しますので、長い夏の期間を種子で過ごすことになります。
ハナノキはムクロジ科カエデ属ハナノキ節に属する雌雄異株の落葉高木です。日本固有種で、長野・岐阜県境の恵那山を中心とする半径約50km程度の地域を主な分布地とし、他には長野県大町市の隔離集団が知られています。絶滅危惧II類。(よ)
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