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樹木園ではいろいろな木の、花や若い実が観察できる時期になってきました。左の写真はムクロジ科(旧カエデ科)のイロハモミジです。よく見ると、赤い雄花(おしべだけの花)の中に羽のついたものが混じっています。これは、両性花(めしべとおしべを持つ花)についた若い実です。熟すと右の写真のようにプロペラの形になります。
このように、イロハモミジでは雄花と両性花が混生します。ただし、イロハモミジの両性花はおしべの花糸が短く、ずっと見ていても花粉をださないようです。このことからおしべは退化傾向にあって、見た目は両性花でも機能的には雌花(めしべだけの花)ではないかとも考えられます。
イロハモミジは紅葉が美しいことで知られ、”モミジ”の代表格のような木です。カエデの仲間は日本に26種あるといわれています。種によって葉の形も様々で、必ずしも深く切れ込んだカエルの手のような形(“かえるで”がなまって“カエデ”になったと言われています)をしているわけではありません。しかし、プロペラのような実をつけること、葉が対生(2枚ずつ向き合ってつくこと)の両方の特徴を持っていれば、カエデの仲間だとすぐにわかります。(S)
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