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ホオノキの花が咲いています。高い場所で咲いていることが多いので、なかなか目の前で見ることはできません。葉も20-40cmと大きいのですが、花も直径約15cmと大型です。花被片は9-12枚で、花の中央に多数の雌しべを囲んで多くの雄しべがあります。ホオノキの花粉は虫によって運ばれます。
花は雌性先熟で、花が開いた最初の頃は雌しべだけが成熟します。このようなメスの時期は数時間から半日程度とのことです。メス期が終わると花はいったん閉じて、次に開いた時は雄しべが成熟します。同じ花をずっと観察して、こういう変化を見られたら楽しいでしょうね。
この仕組みで同じ花の中での受粉は避けられますが、同じ個体の別の花の受粉は避けられないようです。花に来た昆虫の体に付いた花粉の遺伝子を調べた研究では、マルハナバチ類や小型甲虫類に付着した花粉では同じ個体の花粉が多く、ハナムグリ類に付着した花粉では少なかったそうです。ホオノキにとっては他から花粉を多く運んでくれるハナムグリがありがたいお客さんです。
フタリシズカが属するセンリョウ科と同様に、ホオノキが属するモクレン科も、分子系統学に基づくAPG分類体系では、単子葉植物よりも前に分岐した基部被子植物群の中に位置づけられています。(よ)
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