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針葉樹の植林には、通常はチョウの姿は少ない。しかし、ササを食草としている何種かのチョウでは、そのような環境でも多くの個体を見ることがある。
クロヒカゲも、広葉樹林でもスギの植林でも、ササがあれば様々なタイプの森林に姿を見せる。九州などでは平地にも山地にもいるが、なぜか関東から近畿地方や四国の一部など、平地にはほとんど分布しない場所もある。
広義のタテハチョウ科の仲間は前脚が退化していて、歩行には使われない。このため脚が4本(片側2本)しかないように見える。
伊豆諸島の御蔵島に産するものは翅型や眼状紋(目玉模様)の形状などに特徴があり、本州~九州までのものとは別亜種とされる。眼状紋のリングが青く光り、暗い林の中で出会うこのチョウには、ちょっと妖しい美しさがある。科学園記録種。(た)
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