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マツノザイセンチュウ抵抗性品種の開発を目的に、マツノザイセンチュウ接種試験を令和7年7月18日(金)に実施しました。
今年度のセンチュウ接種試験は東北育種場職員総出で行い、2人1組になり、マツの幹の地際の部分にナイフで皮を剥いで、その部分をノコギリでギザギザに傷つける人と、傷つけた部分に強い病原力を持つマツノザイセンチュウを接種する人に分かれ、苗木1本あたり10,000頭を、約3,000本の苗木へ接種しました。
山形県にあります奥羽増殖保存園でも、7月29日に約3,000本の苗木へマツノザイセンチュウ接種試験を実施しました。
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苗木の幹部分に傷を付ける | 食紅で色を付けたセンチュウを注入 |
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職員総出でのマツノザイセンチュウ接種 |
マツノザイセンチュウ接種試験については、【コラム】教えて「東北育種場」のお仕事「海を越えてやってきた侵略者との戦いⅢ【エピローグ】」もご覧下さい。
山形県立村山産業高等学校より出張授業および奥羽増殖保存園見学の依頼を受け、令和7年6月17日(火)に同校にてさし木の実施方法および管理方法についての出張授業を、翌18日(水)に奥羽増殖保存園にて生徒の受け入れを行いました。出張授業はみどり活用科3年生6名、2年生7名の計13名が参加され、当場職員よりさし木の概要説明を説明後ツツジやテマリカンボク等を用い、当場職員の指導のもと、さし木の実技を行いました。
翌18日はみどり活用科3年生8名が奥羽増殖保存園に来場し、奥羽増殖保存園管理係長より保存園の概要やビニールハウスで管理を行っているスギ苗木について説明を行いました。
2日間とも天気に恵まれ、生徒の皆さんには、実技や見学をとおして、さし木の技術や奥羽増殖保存園の業務等について理解を深めていただけたものと思います。
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職員によるさし木の概要説明 | さし木の実技指導 |
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奥羽増殖保存園の概要説明 | 養苗中のスギ苗木の管理について説明 |
森林総合研究所林木育種センター東北育種場は林木遺伝資源として保存する価値を有すると考えられる天然記念物や巨樹・名木などの樹木が高齢等の理由により衰弱がみられる場合、所有者からの申請に基づいて、母樹と同一遺伝子を持つ苗木を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせる「林木遺伝子銀行110番」を行っています。
令和7年6月15日(日)に、「千年杉」の後継樹が里帰りしましたので、増殖の経緯や後継樹の植樹について紹介します。
「千年杉」の推定樹齢は約1,000年、胸高位置の太さ(直径)は約1.8m、樹高は約35mに達する巨木で、長年、志賀理和気神社(紫波郡紫波町)の御神木として大切にされてきました。
しかし、平成19年(2007年)に社殿の裏を流れる北上川が大雨であふれ、周辺地域では大きな水害が発生し、志賀理和気神社の社殿も床下浸水等の被害を受けました。この水害の後、治水対策として北上川の被害地域周辺に堤防を築くことになり、志賀理和気神社の全面移転および「千年杉」の伐採が決定したことから、所有者の志賀理和気神社から林木遺伝子銀行110 番への要請を受け、令和3年(2021年)11月に枝を採取し、さし木による増殖を行いました。さし木に成功した後継樹9本から3本が里帰りし、うち1本が関係者の手により境内近くに植樹され、そのときの様子は岩手県の新聞社より報道されました。
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伐採前の「千年杉」全景(令和3年11月) | 養苗中の「千年杉」後継樹 |
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遺伝資源管理課長による「千年杉」後継樹の概要説明 | 里帰りした「千年杉」後継樹 |
岩手大学農学部森林科学科の学生30名が令和7年5月29日(木)、学生実習のために東北育種場へ来場し、ツツジとテマリカンボクを用いたさし木、スギ・カラマツを用いたつぎ木の実習を行いました。
実習に先立ち、職員から林木育種事業の概要について説明するとともに、さし木、つぎ木の方法についてポイントや注意事項等の説明を交えながら実演しました。その後学生は6班に分かれ、さし木・つぎ木の実習を行いました。職員が各班をサポートし、学生が実際にさし木やつぎ木を行う際に、アドバイスを行いました。
さし木・つぎ木の実習後、苗畑に移動し、苗木の育成業務や育成した苗木がどのように活用されるのか等についても説明を行いました。
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職員による東北育種場の概要説明 | さし木の実技指導 |
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つぎ木の実技指導 | 苗畑の概要説明 |
森林総合研究所林木育種センター東北育種場は林木遺伝資源として保存する価値を有すると考えられる天然記念物や巨樹・名木などの樹木が高齢等の理由により衰弱がみられる場合、所有者からの申請に基づいて、母樹と同一遺伝子を持つ苗木を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせる「林木遺伝子銀行110番」を行っています。
令和7年4月26日(土)に、「西光寺のシダレザクラ」の後継樹が里帰りしましたので、増殖の経緯や後継樹の植樹について紹介します。
青森県指定天然記念物である「西光寺のシダレザクラ」は推定樹齢300年以上、幹は2つに分かれ目通り幹周囲は、それぞれ約2.64mおよび1.55m、樹高約 5mに達する巨木で、本来の自生地ではない青森県で推定樹齢が300年を超える「西光寺のシダレザクラ」は貴重であり、毎年春には美しい花をつけ、その風情ある姿が人々に親しまれています。
しかし、幹の空洞化が進んで中央部分が欠損し樹勢が衰えてきたため、所有者の西光寺から林木遺伝子銀行110 番への要請を受け、令和5年(2023年)2月に枝を採取し、つぎ木による増殖を行いました。つぎ木に成功した後継樹10本から3本が里帰りし、そのうちの1本が所有者と遺伝資源管理課長の手により原木近くに植樹され、そのときの様子が青森県の各種メディアより報道されました。
後継樹が大きく成長し、親木と同じくきれいな花を咲かせることを願っております。
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西光寺のシダレザクラ全景 | 西光寺のシダレザクラからの枝採取作業 |
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養苗中の「西光寺のシダレザクラ」後継樹 | 里帰りした「西光寺のシダレザクラ」後継樹 |
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