ホーム > 業務紹介 > 活動報告

更新日:2025年10月31日

ここから本文です。

活動報告

東北森林管理局・森林整備センター東北北海道整備局若手職員を対象とした業務紹介を実施

 森林研究・整備機構の業務について理解を深めていただくことや、機構内の内部連携を強化することを目的に、東北森林管理局と森林整備センター東北北海道整備局の若手職員を対象に、森林総合研究所東北支所と東北育種場の業務紹介を、令和7年10月10日(金)に東北育種場で実施しました。この取り組みは令和4年度からはじまり、開催場所を東北支所と東北育種場で交互に場所を変えて実施しており、今回4回目を東北育種場で開催しました。
 東北育種場長から歓迎の挨拶を行った後、東北支所長が「森林研究・整備機構および森林総合研究所の概要説明」を、東北育種場長が「林木育種センターおよび東北育種場の概要説明」を、東北支所の産学官民連携推進調整監が「東北支所の研究概要紹介」を、東北育種場の育種研究室長が「東北育種場の研究概要紹介」を行いました。

 

 20251010_02  20251010_01
  東北支所長による森林研究・整備機構および
  森林総合研究所の概要説明
  東北育種場長による林木育種センターおよび
  東北育種場の概要説明
 20251010_03  20251010_04  

  産学官民連携推進調整監による東北支所で
  行っている研究概要の紹介

   育種研究室長による東北育種場で行っている
   研究概要の紹介

 

 室内での概要説明後、場内の苗畑等において、当場職員を講師としてQRコードリーダーを用いた「配布苗木の系統管理」、カーボン測竿に鎌を取り付けた用具(測竿鎌)を用いた「遺伝資源の穂木収集」の実習を行いました。また、7月にマツノザイセンチュウをマツの苗木に接種し、その後経過観察を行っている苗畑試験の説明を行い、業務研修を終了しました。

 

 20251010_05  20251010_06
              QRコードを用いた系統管理の概要説明および作業体験
 20251010_07  20251010_08
    測竿鎌を用いた穂木(枝)採取の体験   マツノザイセンチュウ接種の苗畑試験の概要説明
 (接種から12週間が経過)

 

 東北森林管理局や森林整備センターの若手職員に対し、森林研究・整備機構が取り組んでいる研究事業について、理解が得られたのではないかと思います。

 令和8年度は東北支所で開催の予定です。

岩手南部森林管理署および岩手県林業技術センターと共同で、抵抗性アカマツ試験地を造成

 岩手県は、全国でも有数のアカマツの産地となっており、幹が通直で、材の強度が高く加工性にも優れており、「ナンブアカマツ」と呼ばれ県の木に選ばれています。
 一方でアカマツは、マツノザイセンチュウへの抵抗力が弱く、マツ材線虫病の枯損被害(松枯れ)が全国的に拡大している中、岩手県においても被害が拡大しており、貴重なアカマツ資源の維持が危ぶまれる状況にあります。
 このため、東北育種場及び岩手県林業技術センターでは、この病気に強く枯れにくい抵抗性アカマツの開発を進めてきましたが、優れた成長や有用な材質といった特性と抵抗性を併せ持つ新たな抵抗性マツの開発・普及が課題となっていました。
 これらの背景から、東北育種場、岩手県林業技術センター、東北森林管理局岩手南部森林管理署の3者はこのたび、これらの特性を持つ新たな抵抗性アカマツの開発・普及を目指すため、奥州市の国有林内に試験地を10月8日に設定しました。

 植栽に先立ち、10月2日に各事業所の担当者が現地に赴き、植栽前の事前準備を行いました。事前の準備として、苗木の植栽箇所に目印をつけるために、試験地造成予定地に巻き尺を縦と横に張り、2m間隔で目印として地面に竹串を差していきました。

20251002_01 20251002_02
   試験地造成にかかる事前準備(巻き尺を張り、2m間隔で苗木の植栽位置へ竹串を差す)


 試験地への苗木の植栽は10月8日に行いました。東北育種場職員からアカマツ苗木の植栽方法について説明した後、2つのグループに分かれ、植栽箇所へ苗木の分配と苗木の植栽を分担しながら行いました。

 20251008_01  20251008_02
    アカマツ苗木の植栽についての説明         アカマツ苗木の植栽
 20251008_03  20251008_04  
        植栽後の試験地遠景    試験地をバックに覚書を持つ3機関代表者

 

今後も3者で連携しながら共同で試験地の管理・調査を進めていく予定です。

 

 マツノザイセンチュウ接種試験を実施

 マツノザイセンチュウ抵抗性品種の開発を目的に、マツノザイセンチュウ接種試験を令和7年7月18日(金)に実施しました。
 今年度のセンチュウ接種試験は東北育種場職員総出で行い、2人1組になり、マツの幹の地際の部分にナイフで皮を剥いで、その部分をノコギリでギザギザに傷つける人と、傷つけた部分に強い病原力を持つマツノザイセンチュウを接種する人に分かれ、苗木1本あたり10,000頭を、約3,000本の苗木へ接種しました。

 山形県にあります奥羽増殖保存園でも、7月29日に約3,000本の苗木へマツノザイセンチュウ接種試験を実施しました。

 20250718_matsuzai01    20250718_matsuzai02
           苗木の幹部分に傷を付ける     食紅で色を付けたセンチュウを注入
 20250718_matsuzai03  20250718_matsuzai04  
                                                   職員総出でのマツノザイセンチュウ接種

 

 マツノザイセンチュウ接種試験については、【コラム】教えて「東北育種場」のお仕事「海を越えてやってきた侵略者との戦いⅢ【エピローグ】」もご覧下さい。

 山形県立村山産業高等学校への出張授業及び見学受け入れを実施

 山形県立村山産業高等学校より出張授業および奥羽増殖保存園見学の依頼を受け、令和7年6月17日(火)に同校にてさし木の実施方法および管理方法についての出張授業を、翌18日(水)に奥羽増殖保存園にて生徒の受け入れを行いました。出張授業はみどり活用科3年生6名、2年生7名の計13名が参加され、当場職員よりさし木の概要説明を説明後ツツジやテマリカンボク等を用い、当場職員の指導のもと、さし木の実技を行いました。

 翌18日はみどり活用科3年生8名が奥羽増殖保存園に来場し、奥羽増殖保存園管理係長より保存園の概要やビニールハウスで管理を行っているスギ苗木について説明を行いました。

 2日間とも天気に恵まれ、生徒の皆さんには、実技や見学をとおして、さし木の技術や奥羽増殖保存園の業務等について理解を深めていただけたものと思います。

murayamanougyousetsumei sashikijitsugishidou
      職員によるさし木の概要説明          さし木の実技指導
ouugaiyousetsumei suginaekinokanrisetsumei
      奥羽増殖保存園の概要説明     養苗中のスギ苗木の管理について説明

 志賀理和気神社における「千年杉」の後継樹が里帰りしました

 森林総合研究所林木育種センター東北育種場は林木遺伝資源として保存する価値を有すると考えられる天然記念物や巨樹・名木などの樹木が高齢等の理由により衰弱がみられる場合、所有者からの申請に基づいて、母樹と同一遺伝子を持つ苗木を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせる「林木遺伝子銀行110番」を行っています。
 令和7年6月15日(日)に、「千年杉」の後継樹が里帰りしましたので、増殖の経緯や後継樹の植樹について紹介します。

 「千年杉」の推定樹齢は約1,000年、胸高位置の太さ(直径)は約1.8m、樹高は約35mに達する巨木で、長年、志賀理和気神社(紫波郡紫波町)の御神木として大切にされてきました。

 しかし、平成19年(2007年)に社殿の裏を流れる北上川が大雨であふれ、周辺地域では大きな水害が発生し、志賀理和気神社の社殿も床下浸水等の被害を受けました。この水害の後、治水対策として北上川の被害地域周辺に堤防を築くことになり、志賀理和気神社の全面移転および「千年杉」の伐採が決定したことから、所有者の志賀理和気神社から林木遺伝子銀行110 番への要請を受け、令和3年(2021年)11月に枝を採取し、さし木による増殖を行いました。さし木に成功した後継樹9本から3本が里帰りし、うち1本が関係者の手により境内近くに植樹され、そのときの様子は岩手県の新聞社より報道されました。

 

    sennensugibassai   sennensugi_shiwa_shikariwake  
    伐採前の「千年杉」全景(令和3年11月)         養苗中の「千年杉」後継樹
 idenkachousetsumei   sennensugisyokusaigo  
   遺伝資源管理課長による「千年杉」後継樹の概要説明          里帰りした「千年杉」後継樹

 岩手大学農学部森林科学科の学生が来場

 岩手大学農学部森林科学科の学生30名が令和7年5月29日(木)、学生実習のために東北育種場へ来場し、ツツジとテマリカンボクを用いたさし木、スギ・カラマツを用いたつぎ木の実習を行いました。

 実習に先立ち、職員から林木育種事業の概要について説明するとともに、さし木、つぎ木の方法についてポイントや注意事項等の説明を交えながら実演しました。その後学生は6班に分かれ、さし木・つぎ木の実習を行いました。職員が各班をサポートし、学生が実際にさし木やつぎ木を行う際に、アドバイスを行いました。

 さし木・つぎ木の実習後、苗畑に移動し、苗木の育成業務や育成した苗木がどのように活用されるのか等についても説明を行いました。

概要説明 さし木の実技指導
      職員による東北育種場の概要説明          さし木の実技指導
つぎ木実技指導 苗畑概要説明
       つぎ木の実技指導         苗畑の概要説明

 青森県指定天然記念物「西光寺のシダレザクラ」の後継樹が里帰りしました

 森林総合研究所林木育種センター東北育種場は林木遺伝資源として保存する価値を有すると考えられる天然記念物や巨樹・名木などの樹木が高齢等の理由により衰弱がみられる場合、所有者からの申請に基づいて、母樹と同一遺伝子を持つ苗木を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせる「林木遺伝子銀行110番」を行っています。
 令和7年4月26日(土)に、「西光寺のシダレザクラ」の後継樹が里帰りしましたので、増殖の経緯や後継樹の植樹について紹介します。

 青森県指定天然記念物である「西光寺のシダレザクラ」は推定樹齢300年以上、幹は2つに分かれ目通り幹周囲は、それぞれ約2.64mおよび1.55m、樹高約 5mに達する巨木で、本来の自生地ではない青森県で推定樹齢が300年を超える「西光寺のシダレザクラ」は貴重であり、毎年春には美しい花をつけ、その風情ある姿が人々に親しまれています。

 しかし、幹の空洞化が進んで中央部分が欠損し樹勢が衰えてきたため、所有者の西光寺から林木遺伝子銀行110 番への要請を受け、令和5年(2023年)2月に枝を採取し、つぎ木による増殖を行いました。つぎ木に成功した後継樹10本から3本が里帰りし、そのうちの1本が所有者と遺伝資源管理課長の手により原木近くに植樹され、そのときの様子が青森県の各種メディアより報道されました。

 後継樹が大きく成長し、親木と同じくきれいな花を咲かせることを願っております。

 

saikoujinoshidarezakurazenkei shidarezakurasyusyu
       西光寺のシダレザクラ全景     西光寺のシダレザクラからの枝採取作業
saikoujinoshidarezakura_youbyou koukeijyusyokusaigo
   養苗中の「西光寺のシダレザクラ」後継樹    里帰りした「西光寺のシダレザクラ」後継樹